欧州証券市場庁、ESG評価機関に関する調査結果公表

6月27日、EUの証券市場規制機関である欧州証券市場庁(ESMA)は、欧州連合(EU)におけるESG格付業者の市場構造に関する情報を収集し、その結果を示した欧州委員会(EC)宛ての書簡を公表した。

ESMAは合計154件の回答を受け、現在EUで活動しているESG格付けプロバイダーは59件であることを確認した。さらに回答を分析した結果、以下のようないくつかの特徴や傾向が示された。

  • ESG格付けプロバイダー・市場の構造は、少数の非常に大規模な非EUのプロバイダーと、多数の著しく小規模なEUの事業体があることを示している。回答者の法人はEU加盟国のほぼ半分に分散しているが、その多くは少数の加盟国に集まっている。
  • ESG格付けの利用者は、通常、投資家負担で複数のプロバイダーと同時に契約している。複数のプロバイダーを選択する理由は、アセットクラス別、地域別のカバレッジを高めるため、または、 異なる性質のESG評価を受けるためだ。利用者が指摘した最も一般的な欠点は、特定の産業や企業の種類をカバーしていないこと、不十分なデータの粒度、ESG格付けプロバイダーが使用する方法論の透明性の欠如だった。しかし、発行者負担によるESG格付の提供は、予想以上に普及しているとが証明された。
  • ESG格付けの対象となる企業は、ESG格付けプロバイダーとのやりとりに少なくとも一定レベル のリソースを割いているが、その量は格付け企業自体の規模に大きく依存する。ほとんどの回答者は、格付けの根拠、フィードバックのタイミング、誤りの修正に関する透明性のレベルなど、格付けプロバイダーとのやりとりにおける何らかの欠点を強調している。

    寄せられたフィードバックは、市場が未成熟ではあるが成長しており、数年にわたる統合を経てEU域外に本社を置く少数の大規模なプロバイダーが台頭していることを示している。

【参照ページ】
(原文)ESMA PUBLISHES RESULTS OF ITS CALL FOR EVIDENCE ON ESG RATINGS
(日本語訳)ESMA、ESGレーティングに関する証拠収集の結果を発表

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    2024-4-25

    アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    4月17日、アップルは、バリューチェーンの脱炭素化という目標に向けて大きく前進していることを発表し…
  2. 2024-4-24

    ダウとP&G、プラスチック・リサイクル技術の共同開発契約を締結

    3月25日、 米国の化学世界大手であるダウと消費財業界大手のP&Gは、プラスチック・リサ…
  3. 2024-4-24

    住商グループとパートナー企業、太陽光発電パネルの再利用・リサイクル実証実験に着手

    3月28日、住友商事、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、SMFLみらいパートナーズ…

アーカイブ

ページ上部へ戻る