5月19日、米国エネルギー省(DOE)は、大気から数百万トンの二酸化炭素を除去・貯蔵する大規模な直接大気分離回収(DAC)プロジェクトに35億ドル(約4,500億円)を資金提供し、2050年までにネット・ゼロ達成という野望の実現に役立つ重要な脱炭素化ツールの1つを開発するプロジェクトであると発表した。
今回の新たな資金は、超党派インフラストラクチャー法に基づいて提供されるもので、DAC、炭素隔離・輸送インフラ、炭素利用プログラムなどの炭素管理プロジェクトやイニシアチブに5年間で約65億ドル(約8,300億円)の資金を割り当てることになっている。
DAC技術は、IEAがネット・ゼロ・エネルギー・システムへの移行における重要な炭素除去オプションとして挙げているもので、大気中から直接CO2を抽出して原料として使用したり、貯蔵と組み合わせて永久に除去する。今年初めに発表されたIPCCの画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオでは、二酸化炭素の除去方法は今後数十年にわたって年間数十億トンにまで拡大し、DACはその大部分を占める可能性があると位置づけられている。
新たな資金は、地域直接大気分離回収ハブプログラムに割り当てられ、4つの地域DACハブの開発を支援する。各ハブは、二酸化炭素除去プロジェクト、二酸化炭素利用オフテーカー候補、輸送インフラ、地下資源、貯蔵インフラのネットワークで構成されている。各ハブは、少なくとも年間100万トンのCO2を大気中から回収し、永久に貯蔵する能力を有すると予想される。
本プロジェクトは、地理的多様性、地域における炭素隔離・利用の可能性、地域産業の炭素集約度、拡張性と拡大の可能性、地域における技能訓練と長期雇用の機会を創出する能力などの基準に基づいて、DOE によって選定される予定である。
【参照ページ】
(原文)Biden Administration Launches $3.5 Billion Program To Capture Carbon Pollution From The Air
(日本語訳)バイデン政権、大気中の炭素汚染を捕捉する35億ドル規模のプログラムを始動