AXA IM、気候変動対策に遅れをとる企業からの撤退を促す「スリーストライク・アンド・ユー・アウト」政策を発表

 

5月4日、グローバルな資産運用会社であるAXA IMは、投資先企業に環境・社会問題を考慮するよう促すことを目的とした議決権行使方針の強化を発表した。新方針の主な特徴として、十分な進捗が見られない気候のラガード (保守的) 企業から売却するためのタイムラインや、上級管理職のインセンティブ報酬をESGや気候の要素に合わせる要件などが挙げられる。

AXA IMは、2021年スチュワードシップ報告書の発表とともに、本方針について説明し、過去1年間の同社のエンゲージメント、投票、スチュワードシップ活動、今後の計画や優先事項を強調した。報告書によると、2021年のAXA IMのエンゲージメントでは、気候問題が3分の1以上を占め、その他にもコーポレート・ガバナンス、人的資本、資源・生態系などの主要エンゲージメント分野に重点を置き、1年間のエンゲージメントの80%が国連SDGsに関連するものであった。

2022年については、AXA IMは、気候、生物多様性、ジャスト・トランジション、人権を含む優先的なエンゲージメント分野を特定した。

AXA IMの新しいポリシーでは、気候変動に遅れをとっている企業に対して「スリーストライク・アンド・ユー・アウト」ルールを導入し、ポートフォリオおよび気候変動の観点から重要であると考えられる企業を中心に3年間にわたり積極的にエンゲージメントを行い、その後に特定の目標に到達しない場合は、AXA IMが売却を行う。

AXA IMの2022年議決権行使方針は、企業の給与政策におけるESG要素の統合も推進しており、役員報酬制度に持続可能な事業戦略に沿った「有形、関連、意味のある主要業績指標」を追加するよう企業に働きかけている。 AXA IMは、気候変動問題にさらされている企業は、役員報酬を気候変動戦略の目標に沿ったものにしなければならず、また、短期、中期、長期の排出削減目標を含むネット・ゼロ戦略も必要とし、これらの要件を満たさない企業の経営者や取締役会長、CEOに反対票を投じることもあると表明している。

エンゲージメント重視の姿勢を裏付けるように、 AXA IM はコーポレートガバナンス&スチュワードシップチームに、エロイーズ・クロー(Senior Corporate Governance and Stewardship Analyst)、アレクサンドル・プロスト(Senior Corporate Governance and Stewardship Analyst)、コンスタンツ・カイエ(Constance Caillet)といった一連の人事を発表している。

【参照ページ】
(原文)AXA IM intensifies pressure on companies to take meaningful action on sustainability issues with enhanced stewardship focus
(日本語訳)AXA IM、気候変動対策に遅れをとる企業からの撤退を促す「スリーストライク・アンド・ユー・アウト」政策を発表

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-16

    SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか

    2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案…
  2. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  3. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…

ピックアップ記事

  1. アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    2024-4-25

    アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    4月17日、アップルは、バリューチェーンの脱炭素化という目標に向けて大きく前進していることを発表し…
  2. 2024-4-24

    ダウとP&G、プラスチック・リサイクル技術の共同開発契約を締結

    3月25日、 米国の化学世界大手であるダウと消費財業界大手のP&Gは、プラスチック・リサ…
  3. 2024-4-24

    住商グループとパートナー企業、太陽光発電パネルの再利用・リサイクル実証実験に着手

    3月28日、住友商事、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、SMFLみらいパートナーズ…

ページ上部へ戻る