BlackRock CEO、株主への年次書簡を発表。ウクライナ侵攻により再エネへの移行加速を指摘
2月24日、BlackRock CEOのラリー・フィンクは、株主への年次書簡を発表した。本書簡では、ロシアのウクライナ侵攻による市場および投資への影響に大きな焦点を当て、Finkが「過去30年間に経験したグローバリゼーションに終止符を打つ」と呼んだことを含め、その内容を紹介した。
本書簡で取り上げられた戦争の主な影響分野の1つは、ネット・ゼロ移行である。BlackRockは、気候変動問題に関して投資界をリードする存在となっており、過去数年にわたりフィンク氏がCEOに宛てた書簡で、BlackRockが投資プロセスにおいてサステナビリティと気候変動対策をますます重視していること、一貫した質の高いデータと気候変動の開示の必要性、企業の移行への対応力が資本配分決定に与える影響の増大を強調している。
フィンク氏によれば、この戦争の主な結果として、エネルギー関連の考慮事項が調整され、エネルギー安全保障がエネルギー移行に続いて優先リストに加わった。短期的には、各国が新たなエネルギー源の確保に奔走し、石油やガスだけでなく、石炭の消費も増える可能性があるため、ネット・ゼロに向けた世界の進展が鈍化すると予想される。
しかし、長期的にはよりクリーンなエネルギー源への転換が加速する可能性があり、すでにいくつかの国は、エネルギー自給を確立するために再生可能エネルギー源に転換する計画を示している。また同氏は、エネルギー価格の急激な上昇は、従来のエネルギー源とクリーンなエネルギー源の価格差を縮める一方で、低所得の消費者の経済的負担を悪化させると指摘している。
今年初めに発表された最新のCEOレターで、FinkはBlackRockの気候変動投資アプローチに言及し、石油・ガス企業の継続保有を擁護し、セクターからの投資撤退は気候変動目標の達成に有効な手段ではないと主張し、脱炭素化の主導的役割を果たす炭素集約セクターの企業への新たな投資機会について指摘している。
【参照ページ】
(原文)To our shareholders,
(日本語訳)BlackRock CEO、戦争は長期的なクリーンエネルギー移行を加速させると発言