欧州銀行監督機構、ESGリスク開示ルールを改定 報告負担の軽減と透明性向上を両立へ

6月22日、European Banking Authority(EBA)は、銀行の情報開示に関する「ピラー3(Pillar 3)」規則の改定案を公表した。環境・社会・ガバナンス(ESG)リスクに関する開示要件を見直すとともに、株式保有リスクやシャドーバンキング向けエクスポージャーに関する新たな開示義務を導入する内容となっている。

今回の改定は、EUで進められている金融規制の簡素化方針に沿ったもので、2025年以降段階的に導入されている銀行自己資本規制「CRR3(Capital Requirements Regulation 3)」を反映する最終段階の措置と位置付けられている。

EBAによると、新たな枠組みではESGリスクに関する開示義務をすべての金融機関に拡大する一方、銀行の規模や業務の複雑さに応じて報告内容を調整する「コア+補足(Core Plus Supplement)」方式を採用する。これにより、大手銀行では現在より37%少ないデータ項目の開示で済むようになるほか、中規模銀行では17%削減される。小規模かつ業務が比較的単純な金融機関については、大手行と比べて84%少ないデータ項目のみの報告が求められる見通しだ。また、EBAは小規模金融機関向けに、監督当局へ提出されたデータを活用してESG関連情報を中央システム上で自動的に開示する仕組みも導入する方針を示した。これにより、事務負担の軽減を図るとしている。

今回の改定では、ESGリスク開示に加え、銀行が保有する株式投資のリスクや、規制対象外または規制が比較的緩やかな金融仲介機関(いわゆるシャドーバンキング)へのエクスポージャーに関する開示も義務付けられる。さらに、企業のサステナビリティ情報開示を定める「欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)」との整合性も強化される。銀行はピラー3で開示した情報をESRS報告書でも活用できるようになり、重複報告の削減が期待されている。

EBAは今後、改定案を欧州委員会へ提出し、正式採択を求める。併せて、報告データの電子提出に必要な技術仕様やデータモデルの整備も進める予定だ。新たな開示規則は、原則として2026年12月31日時点のデータから適用される見込みで、小規模・非複雑金融機関については2027年末からの適用が予定されている。

欧州では近年、金融機関に対して気候変動や生物多様性損失などのESGリスクを適切に把握・開示することを求める動きが強まっている。一方で、規制強化に伴う事務負担やコスト増加への懸念も指摘されており、今回の改定は透明性向上と規制簡素化の両立を目指す取り組みとして注目される。

原文:EBA updates Pillar 3 disclosure requirements on ESG risks, equity and shadow banking exposures, as part of simplification effort
日本語参考訳:欧州銀行監督機構(EBA)は、簡素化の一環として、ESGリスク、株式、シャドーバンキングへのエクスポージャーに関する第3の柱の開示要件を更新した。


🔓会員登録で実務解説・実践ガイド

ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!欧州・米国の最新基準に対応するための実務ポイントを、具体的なアクションレベルで整理しています。

🌍海外開示制度・基準への対応に関連する実務解説はこちら>>>

READ MORE
READ MORE
READ MORE

すでに登録済みの方はログイン

関連記事一覧