Kimberly-Clark、独コブレンツ工場を再生可能エネルギー100%体制へ―年間約5万トンのCO2削減

3月25日、世界的な衛生用品メーカーKimberly-Clark(K-C)は、ドイツ・コブレンツのティッシュ製造拠点が、同社として初めて再生可能エネルギー100%への移行に向けた明確な道筋を得たことを発表した。2029年までに完了予定のこの移行により、同施設の年間二酸化炭素排出量は約50,000トン削減され、これは約6,700世帯の年間エネルギー消費量に相当する。

この取り組みは、ドイツ連邦経済気候保護省(BMWK)によるカーボン・コントラクト・フォー・ディファレンス(CCFD)助成金と、K-Cが欧州複数国で締結した仮想電力購入契約(vPPA)により実現可能となった。今後は天然ガスボイラーやフードヒーターなどを電化し、エネルギー効率99%を実現。これにより、年間約13,000トンのCO2削減が見込まれる。

さらに、コブレンツ工場における電力需要は、イタリアとスペインにおける太陽光発電プロジェクトからの仮想購入契約によりすべて再エネで賄われ、追加で約36,000トンのCO2排出が回避される見込みである。

K-CのCSO、リサ・モーデンは「この発表は、K-Cの脱炭素戦略が革新的かつ業界横断的な協働によって着実に進展していることの証である」と述べた。工場長のポール・ソコルも「持続可能な製造の新たな基準をコブレンツが示せたことを誇りに思う」とコメントした。

同施設は、ドイツ、オランダ、オーストリア、スイスから回収した使用済みペーパータオルを再生処理し、新しいティッシュ製品に生まれ変わらせるRightCycleプログラムでも中心的な役割を果たす。

今回の取り組みは、K-Cが掲げる2015年比でスコープ1・2排出量を50%削減するというグローバル目標の一環であり、スペイン・サラマンカ工場での屋上太陽光導入や、南ア・ケープタウン、英スコットランドでの再エネ投資に続く重要なマイルストーンとなる。

(原文)Kimberly-Clark Announces First Tissue Manufacturing Site On Path To 100% Renewable Energy
(日本語参考訳)キンバリークラーク、100%再生可能エネルギー化に向けた初のティッシュ製造拠点を発表

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る