COP29、気候資金目標で合意:2035年までに1.3兆ドル

11月24日、第29回国連気候変動会議(COP29)は、先進国が気候適応支援のため年間3000億ドル(約45兆円)を拠出することを約束し閉幕した。新たな気候資金目標(NCQG)は、2035年までに「少なくとも1.3兆ドル(約200兆円)」を目指すもので、2025年に期限切れとなる現行の年間1000億ドル目標を置き換える形となる。しかし、開発途上国はこの約束が「遅すぎる」と批判し、さらなる支援を求めた。

会議では、気候資金目標の設定に加え、国連支援のグローバル炭素市場のルール合意、ジェンダーと気候変動に関するプログラムの延長、最貧国の適応計画支援への合意など、いくつかの重要な前進が見られた。また、水問題を気候行動に結びつける「バクー会議」が立ち上げられ、WMO(世界気象機関)も共同設立者として科学的根拠の提供を行う役割を担う。

WMOのサウロ事務局長は、気候変動の影響が加速していることを指摘し、早期警戒システムの強化や温室効果ガスのモニタリング拡大など、適応と緩和のための行動を加速する必要性を強調した。さらに、若者の気候行動への参加を促進する「ユースアクションプラン」開発にも注力する。次回COP30はブラジルのアマゾン地域ベレンで開催される予定であり、さらなる進展が期待される。

【参照ページ】
(原文)COP29 ends with compromise on climate financing
(日本語参考訳)COP29、気候変動対策資金に関する和解で終了

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る