1000社以上がISSBを参照し、30の地域が導入しようとしている
11月12日、IFRS財団が新たな報告書を発表し、1,000社以上が自社の報告書でISSB(国際サステナビリティ基準審議会)を参照しており、30の地域がISSB Standardsを法規制に導入する準備を進めていると発表した。この報告書は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の勧告との整合性も示しており、TCFD解散後にIFRS財団が気候関連開示の進展記録を引き継いだ背景がある。
TCFDの11の勧告のうち少なくとも1つに沿った開示を行った企業は82%に達したものの、すべての勧告に沿った開示を行った企業はわずか3%未満である。これにより、気候関連のリスクや機会を評価するために必要な情報が投資家に十分提供されていないことが示唆される。
IOSCO(証券監督者国際機構)が2023年7月にISSB Standardsを承認したことで、推奨されていた開示が義務化される方向に進み、グローバル資本市場で利用される質の高いサステナビリティ関連情報の提供が増加することが期待されている。30の法域のうち29がScope 3のGHG排出量開示を義務化しており、28の法域では業種別開示要件が含まれるか検討中である。一部の法域では業種別開示を当初は任意とする意向が示されているが、サステナビリティに関連する全リスクと機会を包括的にカバーする要件を導入する法域も90%に達している。
一部の法域では、ISSB Standardsに近づくよう提案を改定し、基準間の一貫性を確保している。特に、国境を越えた大規模な事業を展開する企業やサプライチェーンに属する企業は、複数の法域の要求事項の適用を受けることが予想されるため、各法域がISSB基準を広範に修正した場合、現在の自主的な取り組みの寄せ集めに代わって、規制が断片化するリスクを懸念し、グローバル基準との整合性を強く求めている。
ISSB Standardsの導入は、多くの法域で初めて業種別開示要件が導入されることを意味しており、これにより市場での価値が示される。SASB Standardsは業種別開示の包括的基準として、IFRS S1「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」の高品質な実施を支える重要な要素となっている。
【参照ページ】
(原文)New report sets out global progress towards both mandated and voluntary corporate climate-related disclosures
(日本語参考訳)新しい報告書は、義務的および自主的な企業の気候関連情報開示に向けた世界的な進捗状況を示している