オーストリアとルクセンブルグ、ガスと原子力を含めるEUタクソノミーに反対。法的措置をとる意向を表明

オーストリアとルクセンブルグ、ガスと原子力を含めるEUタクソノミーに反対。法的措置をとる意向を表明

2月3日、欧州連合(EU)加盟国のオーストリアとルクセンブルグは、原子力およびガスエネルギー事業の一部を新しいEUタクソノミーの下で持続可能な活動に分類するという欧州委員会の提案に対し、法的措置を取る意向を表明した。

今回の警告は、欧州委員会が発表した原子力とガスをタクソノミーに含めるための基準と開示ルールを提案する委任法を受けてのものである。

【参考記事①】欧州委員会、ガスと原子力をEUタクソノミーに含める計画を推進

ガスと原子力は、化石燃料を使用した電力からより環境に優しいエネルギーシステムへの移行を促進するために必要となる移行エネルギー源とみなされることが多いが、欧州委員会自身の持続可能金融諮問グループ「EUプラットフォーム・オン・サステナブル・ファイナンス」は最近、これらを分類法の下でグリーン活動に分類することに反対し、分類法の移行活動に関する枠組みが持つ、緩和目標への実質的貢献や大きな被害のないことなどの厳しい基準には合致しないとの警告を発した。

【参考記事②】欧州委員会の専門家グループ、ガスと原子力を含むグリーンタクソノミー提案に反対

EUの手続き規則では、今後本提案は欧州議会と理事会に移り、4ヶ月以内にEU人口の65%以上を代表する加盟国の72%以上、または欧州議会議員の過半数が反対しない限り、正式に成立することになる。大方の見方では、成立を阻止するための閾値は満たされないとみられている。

オーストリアとルクセンブルク政府のメンバーは、新ルールへの異議を改めて表明し、新提案の実施に対して法的措置を講じると述べた。オーストリア連邦政府のレオノール・ゲヴェスラー気候保護・環境・エネルギー・移動・革新・技術担当大臣は、欧州委員会の決定を、EUの2050年気候中立目標に対して「反対の方向への一歩」と呼び、「原子力と化石ガスに対するグリーンウォッシュプログラム」であると表現している。

【参照ページ】
(参考記事)EU proposes rules to label some gas and nuclear investments as green

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