11月18日、世界的なコミュニケーション企業であるEdelmanは「2021 Edelman Trust Barometer Special Report」の結果を発表した。このレポートは、投資家の投資基準を形成する主要な問題を調査し、企業が投資コミュニティとの信頼関係を構築する方法を検討したものである。本レポートでは、投資家が企業のESGへの取り組みや報告を信頼していないことが、重要な発見のひとつとなっている。
この調査のために、 Edelman は、米国、カナダ、英国、ドイツ、オランダ、中東、日本の金融アナリスト、最高投資責任者、ポートフォリオマネジャーなど700人の機関投資家を対象に調査を行った。同社は、今回の調査で得られた米国での知見を報告している。
Edelman は、今回の調査で、投資家がESGをオペレーションや財務上の検討事項と同じように精査するようになったことが示されたと述べている。これは、COVID-19の大流行により、投資家がESG要素を重視しなくなったとした昨年の調査結果からの変化であり、昨年は回答者の79%が、自分の会社が投資基準としてESGを重要視していないと回答している。
しかし、投資家がESGを重視するようになった一方で、ほとんどの投資家は企業のサステナビリティ目標や報告を信用していない。今回の調査では、回答者の86%が、企業が業績を開示する際にESGの進捗状況を誇張して伝えることが多いと考えていると回答し、72%が企業がESGのコミットメントを達成するとは思わないと答えている。同様に、94%の投資家が、企業がネット・ゼロ計画を伝えることを期待していると回答した一方で、92%が企業がこれらのコミットメントを効果的に実行していないことに懸念を示した。
その結果、調査対象となった投資家のほぼ全員(94%)が、企業がESGの誓約を実行しないことによる訴訟の増加を予想している。
また、今回の調査では、アクティビズムやエンゲージメントに対する投資家の関心が高まっていることも示された。95%の投資家が、投資に対してアクティビスト的なアプローチをとることに興味があると回答し、昨年の93%、前年の81%から増加した。また、4分の3以上の投資家が、サプライチェーンへの影響、オペレーションのエコ効率、温室効果ガスの排出量などの環境問題について企業にエンゲージメントを行うことを期待しており、81%が取締役会の構成についてエンゲージメントを行う可能性があると回答している。