ESG管理は「実施」から「品質」へ 国内企業の半数超が管理ツール導入、電通総研調査

9月7日、電通総研は、国内企業500社を対象とした「2026年 ESG企業動向調査」を発表した。ESGレポートを作成する企業は94.0%に達したほか、ESG情報管理・GHG排出量算定でツールやシステムを利用する企業も52.4%と半数を超えた。ESG対応が定着するなか、今後は「開示の有無」だけでなく、その「品質」が問われる段階に入りつつある。
調査は年商500億円以上の国内企業を対象に実施。ESGレポートなどを実際に開示している企業は72.6%で、未開示を含めた作成率は94.0%となった。また、ESG責任者を役員層が担う企業も75.6%に上る。ESG情報を収集・開示するだけでなく、組織として管理する態勢の整備が進んでいることがうかがえる。
一方、実務上の課題は残る。ツール導入企業でも、データの収集・加工・確認などでシステム外作業が半分以上を占める企業は64.7%に達した。その理由では「部門や事業所から提出されるデータの形式や粒度の不統一」が49.0%で最多だった。
開示が当たり前になった今「開示品質」とは何か
今回の調査で注目したいのは、ESG情報を「開示しているか」だけでは、企業の対応状況を測りにくくなってきた点だ。電通総研は、今後求められる開示品質として「網羅性、正確性、および監査・保証に対応できる品質」を挙げている。
開示品質を高めるには、開示項目を増やすだけでなく、開示する数値について、どのデータを、どの基準で収集・算定し、誰が確認・承認したのかを説明できることも重要になる。さらに、必要に応じて根拠となるデータまで遡れる状態になっているかもポイントとなるとしている。
同じESG情報を開示していても、担当者による個別の収集・加工に依存する場合と、データの定義や算定方法、確認・承認プロセスが統一されている場合では、情報を支える管理態勢は異なる。
SSBJ基準に基づく開示や第三者保証を見据えれば、今後は「何を開示するか」と同時に、その情報をどのような管理態勢で支え、信頼性を確保するかが重要になる。
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SSBJ・第三者保証で問われるのは「開示の裏側」
こうした開示品質は、SSBJ基準への対応や第三者保証を考えるうえでも重要性を増す。
今回の調査では、SSBJ対応上の最大の課題として「開示情報の整理と網羅性の確保」が29.4%となった。「システム未構築」と「対応コストの負担が大きい」がそれぞれ26.2%、「現在作成している統合報告書(サステナビリティ報告書)や他の開示基準との整合性をとることが難しい」が20.1%となっている。
ESGレポートを作成すること自体が珍しくなくなり、情報管理のシステム化も進んできた。その次に企業間の差となりそうなのが、開示された情報をどの程度信頼でき、その根拠を説明できるかという開示品質である。
自社では、各拠点から収集するデータの定義や粒度は統一されているか。数値の算定方法や変更履歴を把握できるか。誰が確認・承認したのかを追跡できるか。そして、第三者から根拠を求められた場合に説明できる状態になっているか。SSBJ基準に基づく開示や第三者保証を見据えれば、これからのESG対応では「何を開示するか」と同時に、その開示をどのような管理態勢で支えるのかが問われることになりそうだ。
原文:電通総研、国内500社を対象とした「2026年 ESG企業動向調査」を発表
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