金融庁、情報開示のあるべき姿を議論 開示書類の役割分担や相互参照の活用

6月30日、金融庁は、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ:WG(5/18開催)」の議事録を公表した。WGでは、有価証券報告書をはじめとする各開示書類が重複し作業負担になっている現状を鑑み、情報開示のあり方や各開示媒体の役割分担および開示制度全体について幅広い意見が交わされた。本WGは、、有価証券報告書の記載事項の整理および事業報告書との一体化に向けた審議を主な目的としている。

現在、別の会社法制部会で、有価証券報告書と会社法上の事業報告等の一本化に向けた制度整備が検討されている。事業報告等の内容を記載した有価証券報告書を株主総会前までに提出した場合、会社法上の事業報告等の作成を不要とする案が示されている。

本WG内では、委員から有価証券報告書を法定開示の中核と位置付け、そのほかの開示書類が目的に応じて補完する体系へ見直すべきとの意見が相次いだ。現在は開示事項が各媒体に重複したり点在したりと、企業・投資家双方にとって分かりにくい構造に近い場合もあることから、各開示書類の目的や役割を明確化したうえで、制度全体を再設計する必要性が指摘された。

任意開示についても議論が行われた。統合報告書などは企業独自の工夫を反映できる媒体として評価する意見がある一方、有価証券報告書と統合報告書の双方を確認しなければ必要な情報を把握できない現状は非効率との指摘もあった。
このため、法定開示は必要不可欠な情報に重点化し、充実した任意開示については相互参照(クロスリファレンス)の活用を認めることで重複記載を削減すべきとの考えが示された。また、統合報告書を含む任意開示についても、その役割や位置付けを見直すべきとの意見も出された。

コーポレート・ガバナンス報告書については、有価証券報告書との重複を整理すべきとの意見がある一方、検索性やタイムリーな更新機能を備え、投資家の対話や議決権行使に活用されていることから、単純な統合には慎重な意見が多く出された。また、有価証券報告書へ集約できる情報は整理しつつ、EDINETなどでコーポレート・ガバナンス報告書も一元的に参照できるよう、開示プラットフォームの連携を進めるべきとの提案もあった。

さらに、制度横断的な課題として、相互参照の活用に加え、デジタル化の推進も重要な論点となった。委員からは、紙媒体を前提とした制度から脱却し、情報ベンダーや投資家が機械的に利用しやすいデータ形式への移行や、EDINETとTDnetなど分散している開示プラットフォームを連携・一元化する必要性が指摘された。一方で、監査やエンフォースメントの観点から、制度上担保すべき主要な情報は引き続き法定開示に記載すべきとの意見も示されている。

原文:金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第5回)議事録


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