UBS、ネットゼロ銀行連合から脱退「サステナビリティへの取り組みは不変」

8月7日、スイスの金融大手UBSは金融機関による気候変動対策の国際的な枠組み「ネットゼロ銀行連合(Net-Zero Banking Alliance、NZBA)」から脱退したと発表した。サステナビリティ関連の会員資格に関する年次評価を経て決定したもので、脱退後もサステナビリティ分野におけるリーダーを目指すという目標は変わらないと強調している。

UBSは2021年にNZBAの創設メンバーとして加盟した。当時は業界全体で、投融資先の排出量(ファイナンスド・エミッション)に関する脱炭素化の枠組みを構築している段階にあった。

同行は、銀行が目標設定の初期フレームワークを確立する上でNZBAが果たした価値ある役割を認めつつ、「その作業が進展し、当行の社内能力が強化されたことを受け、他のグローバルな同業他社と同様に脱退を決定した」と説明している。

同行は声明で「サステナビリティへのコミットメントは不変であり、秩序ある低炭素経済への移行の重要性を認識している」と述べた。顧客中心主義を貫き、変化するニーズに応える商品を提供することで、顧客の移行を支援する姿勢を改めて示している。

今後も、気候変動が顧客のビジネスモデルや投資に与える影響について、リスクと機会の両面から理解を深める支援を続ける方針だ。また、サステナビリティと気候リスクを自社のリスク管理およびストレステストの枠組みに組み込むための複数年にわたる取り組みも継続していくとしている。

(原文)UBS has withdrawn from the Net-Zero Banking Alliance

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2025-6-11

    TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-…
  3. 進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    2025-6-6

    進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)…

ピックアップ記事

  1. SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    2025-8-14

    SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    日本企業にとって、2026年から「気候変動対応・開示」は、企業価値を左右する重要な経営課題になるで…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-11

    バークレイズ、サステナブルファイナンスで累計2,200億ドルを達成

    7月29日、英国大手銀行バークレイズは、2025年上半期のサステナビリティ投資家向けプレゼンテーシ…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る