ナットウェスト、2030年までに2,000億ポンドの気候移行ファイナンスを提供へ

7月、英大手金融機関ナットウェスト・グループは、2050年ネットゼロ実現に向けた企業や個人の脱炭素化を支援すべく、2030年までに最大2,000億ポンドの気候・移行関連ファイナンスを提供するという新たな目標を発表した。このうち1,000億ポンドは、2025年までの既存目標の前倒し達成を見越した上で、新たに追加された資金である。

この取り組みは、同行が策定した「Climate and Transition Finance Framework」に基づいており、再生可能エネルギー、グリーンビルディング、クリーン輸送、サーキュラーエコノミーといった分野への融資・投資を対象とする。また、農業や土地利用、廃棄物管理など、持続可能性の観点から重要なセクターにも焦点を当てる。

同行は、国際的なタクソノミーやEUグリーンボンド基準、国連「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」の要請に整合する形でフレームワークを設計しており、資金の透明性やトラッキング可能性を重視している。ナットウェストは、財務の力を通じて経済全体の移行を後押しするとともに、自社のポートフォリオの脱炭素化も同時に進めていく構えだ。

今回の目標は、同行のサステナビリティ戦略の中核をなすものであり、企業顧客への移行支援やイノベーション促進にとどまらず、地域社会への裨益も意識した包括的アプローチの一環と位置づけられている。

(原文)Climate and Transition Finance Framework and Target

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-1

    食品ロスによる経済損失は4兆円 温室効果ガス排出は1050万トンに

    8月、消費者庁が委託した「令和7年度 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量に関する調査報告…
  2. 2025-9-29

    ベイン、「サステナビリティ経営者ガイド2025」公表、AI活用進展も環境負荷に懸念

    9月15日、経営コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーは最新調査報告書「サステナビリティ経…
  3. TNFD開示を効果的に進めるには:投資家のニーズと開示のポイント

    2025-9-29

    TNFD開示を効果的に進めるには:投資家のニーズと開示のポイント

    TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく開示は、国際的に重要性を増しており、多くの企…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る