AIブームが世界の電力需要を急増させ、エネルギー転換をもたらす – Blacklock報告

2月18日、Blacklockは新たなレポートを発表し、AIの成長が世界の電力需要増加を促し、市場のボラティリティを高めていることを示した。また、この需要増加が、エネルギー転換へとつながる可能性も示した。

レポートでは、AIが産業構造を変革し、エネルギー需要を押し上げる要因となっていると指摘。2024年には通常安定している電力会社の株価が急騰するなど、市場の変動が発生した。中国のDeepSeekによる高効率AIモデルの発表で一時的にAI関連株が売られたものの、すぐに回復。市場は依然として、AIの進化が大規模なエネルギー投資を必要とすると認識している。

米国では、AI関連の電力需要が急増すると予測されており、特にMicrosoft、Amazon、Meta、Alphabetは2025年に約3,200億ドルをAI関連投資に充てる見込み。これは2024年比で約40%増となる。さらに、米国政府の5000億ドル規模のStargateプロジェクトや、EUがパリで発表した2000億ユーロのAI投資計画も、電力需要をさらに押し上げる要因となる。

AI以外にも、所得向上、産業成長、リショアリング(生産拠点の国内回帰)、冷房需要の増加などが電力需要を押し上げている。特に、猛暑によるエアコンの普及拡大や、建物・車両の電化が進行中である。しかし、急増する電力需要が供給制約に直面することで、インフレ圧力が高まる可能性もある。Blacklockは、こうした環境下では、インフレ対策として株式、インフラ投資、インフレ連動債への配分を増やすべきだとしている。

また、どのエネルギー源が今後の需要を満たすのかも重要な課題である。AIの大手企業は、低コスト・安定供給・低炭素の電力を求めており、その要件を満たすのは容易ではない。これにより、米国の天然ガスと再生可能エネルギーの需要が高まると見られている。ただし、政策的には安定した電力供給と脱炭素の両立が求められるため、長期的には原子力などの低炭素エネルギーの役割も拡大する可能性がある。

【参照ページ】
(原文)Weekly commentary February 18, 2025

関連記事

“ランキングのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. グリーンウォッシングの実態と規制動向:企業の責任と消費者の視点

    2025-3-10

    グリーンウォッシングの実態と規制動向:企業の責任と消費者の視点

    グリーンウォッシングとは、企業がその環境への貢献を過大に展示したり、不実な環境反映情報を提供したり…
  2. 2025-3-10

    ESGフロントライン:潮流を読む~ESG開示はリスクか? サステナビリティ戦略の分岐点

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-3-10

    「TSUNAG認定」、GRESBとTNFDガイドラインと連携へ

    2月10日、 国土交通省は、都市緑地法に基づく「TSUNAG認定」がGRESB(グローバル不動産サ…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る