ブルームバーグ、新たな気候リスク管理ソリューション「MARS Climate」を発表

2月20日、ブルームバーグは、ポートフォリオとリスクマネージャー向けに、気候変動による財務リスク評価を支援する新モジュール「MARS Climate」を発表した。これは、同社のリスク管理スイート「MARS」に追加される形で提供される。

近年、各国の金融規制当局や中央銀行は、金融機関に対し、気候リスクの評価を求める動きを強めている。スイス再保険(Swiss Re)によると、自然災害による経済損失は過去20年間で実質2倍に増加し、2023年には2,800億ドルに達した。こうした状況を受け、企業はリスク管理の一環として、気候関連リスクへの対応が求められている。

MARS Climateは、金融機関がポートフォリオ全体の気候リスクと機会を評価・定量化し、管理することを可能にする。ユーザーは、NGFS(Network for Greening the Financial System)のフレームワークに基づく複数の気候シナリオを分析し、リスク評価を行うことができる。ブルームバーグNEFの「TRACT」を活用した移行リスクモデルは、企業の活動、サプライチェーン、地域的要因を考慮し、企業収益への影響を予測する。提供されるレポートでは、物理的リスク(急性・慢性)および移行リスクの影響を証券レベルで評価する。

ブルームバーグのリスクプロダクト責任者、ダリニ・バラ・ガディヤラム氏は「気候リスク分析は金融リスク評価と並行して実施されるべきだ。MARS Climateの導入により、ユーザーはポートフォリオの脆弱性と機会をより精緻に把握できる」と述べた。

MARS Climateは、ブルームバーグ端末の {MARS CLIMATE <GO>} から利用可能だ。さらに、ブルームバーグのサステナブルファイナンスデータ、GHG排出量予測、Bloomberg IntelligenceやBloombergNEFのリサーチにもアクセスできる。

【参照ページ】
(原文)Bloomberg Launches Climate Risk Management Solution To Help Investors Evaluate The Financial Impacts Of Climate Change On Portfolios
(日本語参考訳)ブルームバーグ、気候変動がポートフォリオに与える財務的影響を投資家が評価できるよう気候リスク管理ソリューションを開始

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