10月29日、モルガン・スタンレーは、1.5℃目標達成の困難さを反映し、新たに1.5~1.7℃のレンジベースの気候目標を採用した。これは、政策や経済の現実との乖離により、より現実的な目標設定を目指すものである。しかし、同社は引き続き2050年までのネット・ゼロ達成を目指し、顧客の低排出量への移行を支援する方針を再確認している。
同社は当初1.5℃の目標を掲げていたが、世界的な政策と実践の進展が予想よりも遅れていることが影響しているとして今回の緩和に至った。特に、電力やエネルギー、自動車などの高排出セクターは同社の法人向け融資ポートフォリオの65%を占めるため、目標を1.5~1.7℃に修正しながら、脱炭素化を促進する。
本調整は、企業と金融機関の排出削減目標を現実的に再設定しつつ、より強力な政策と技術の進展の必要性を浮き彫りにした。他の金融機関にも影響を与える可能性があり、ネット・ゼロを目指すための信頼できるアクションがより求められる。
モルガン・スタンレーは今後、排出目標を資本市場およびイベント融資にも適用する予定である。エネルギー安全保障やEV普及の遅れといったエネルギーと自動車セクター特有の課題も引き続き評価していく方針である。
同社チーフ・サステナビリティ・オフィサー、ジェシカ・アルスフォード氏は「現実的な目標設定で脱炭素化の推進をサポートする」と述べた。モルガン・スタンレーの気候変動目標の変更は、サステナビリティに取り組む金融業界の動向を示す一例であり、他の機関の指針にも影響を与える可能性がある。
【参照ページ】
(原文)Morgan Stanley softens climate targets
(日本語参考訳)モルガン・スタンレー、気候変動目標を緩和