EU、REPowerEUの取り組みで過去2年間でガス消費18%削減

ロシアによるウクライナ侵攻が引き起こしたエネルギー市場の混乱に対処するため、欧州委員会は「REPowerEUプラン」を2022年5月に発表していた。このプランは、ロシアからの化石燃料の輸入を段階的に廃止し、エネルギーの節約や供給の多様化、クリーンエネルギーの生産を促進することを目的としている。

REPowerEUによって、EUはエネルギー不足から市民と企業を守り、ロシアの資金源を弱体化させ、クリーンエネルギーへの移行を加速し、エネルギー価格を安定させることに成功した。

この2年間で、EUはガス消費量を18%削減し、ロシア産化石燃料への依存を克服した。また、風力や太陽光からの電力生産が初めてガスを上回り、再生可能エネルギーの導入が急速に進んだ。2022年8月から2024年3月にかけて、ガス需要は18%減少し、1250億立方メートルのガスを節約した。冬のエネルギー不足を避けるために、EUはガス貯蔵目標を設定し、これを超過達成している。

ロシアからのガス輸入依存を減らすため、EUはエネルギー供給の多様化を進めている。2021年にはEUのガス輸入の45%がロシアからのものでしたが、2023年には15%にまで減少した。また、EUはロシアからの石油、石炭、ガスの輸入を大幅に削減し、エネルギー独立を進めている。

REPowerEUは、再生可能エネルギーへの投資も加速させた。太陽光発電の設置容量は2019年以降で倍増し、風力発電も大幅に増加。2022年には初めて再生可能エネルギーがガスを超える発電量を達成し、クリーンエネルギーの拡大が進んでいる。

欧州委員会は、REPowerEUプランを支えるために約3000億ユーロを動員し、回復と強靭性ファシリティ(RRF)を通じて資金を提供。この2年間で、EUは目標の多くを達成し、ロシア産化石燃料の完全な廃止に向けて順調に進んでいる。

【参照ページ】
(原文)REPowerEU at a glance
(日本語参考訳)REPowerEUの概要

関連記事

“CSAセミナー"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2025-4-2

    金融業界の95%のCO2排出は「間接的」:資金提供排出の実態

    3月6日、米信用情報大手のEquifaxが新たなブログを発表し、金融機関の温室効果ガス排出の約95…
  2. 2025-4-2

    サステナビリティの課題と機会 – 財務・ITとの連携が成功のカギ

    2月27日、ERM Sustainability Institute、Salesforce、Glo…
  3. ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    2025-4-1

    ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のオムニバス草案が提出され、欧州の開示規則が変わる中、20…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る