PCAF、GHG会計基準を大幅改訂 金融機関の排出量算定と開示を拡大へ

12月2日、カーボンアカウンティング・フィナンシャルズ連盟(PCAF)が、金融業界向けの「グローバル温室効果ガス会計・報告基準(PCAFスタンダード)」を更新した。対象はファイナンスド・エミッション(Part A)と保険関連排出量(Part C)であり、加えて「回避排出量(Financed Avoided Emissions)」および「フォワードルッキング指標」に関する補足ガイダンスも公開された。これにより、金融機関は自社の金融活動に伴う排出量をより広範かつ透明に測定・開示できるようになる。
金融機関が保有するポートフォリオは、融資、投資、保険商品など多様であり、GHG算定は高度に複雑だ。今回の改訂では、既存手法を維持しつつ、従来カバーされていなかった金融商品に対応する新手法が追加された。改訂プロセスは、PCAF署名機関から構成される100名超の専門家によるワーキンググループが主導した。
PCAFコアチーム議長のヘタル・パテル氏は、「今回の改訂は、署名機関の専門性と共同の取り組みの結実だ」と述べ、金融活動の排出影響をより包括的に把握できる点を強調した。
PCAF技術ディレクターのカスパー・ノア氏も、「完全で一貫した会計手法こそが信頼できるGHG開示の基盤である」とし、透明性向上への貢献を示した。
今回の改訂には以下が含まれる。
・ユース・オブ・プロシーズ構造、証券化・ストラクチャード商品、サブソブリン債、未実行融資枠(IFRS S1・S2準拠の任意報告)の4つの新手法
・2024年の在庫変動に関する論点整理へのフィードバックを踏まえた提言
・回避排出量および将来排出指標の個別報告に関するガイダンス
・再保険(条約型)とプロジェクト保険に関する2つの新たな保険関連排出量手法
金融機関は新手法を即時利用できるが、導入時期は自ら設定でき、算定対象の範囲と理由の明示が求められる。
(原文)PCAF Launches Updated GHG Accounting Standard
(日本語参考訳)PCAFが温室効果ガス会計基準の改訂版を発表

