12月14日、日本の環境NGO4団体からなるFair Finance Guide Japanは、2023年版の銀行格付けスコアを公表した。今回、みずほが資産運用におけるESG方針を大きく改善したことで総合点で4.1点となり、前回首位だった農林中金(今回のスコアは3.8点)を上回り首位になった。同じ基準で格付けをする欧州の金融機関は5か国平均で6.5点となっており、依然大幅な遅れをとっている。
Fair Finance Guideでは、大手金融機関の投融資方針の社会性をスコアリングし、その結果を分かりやすく市民に提供することを通じて、金融機関のESGの取り組みに良い競争をもたらすことを目指す。2009年にオランダのNGOが開始し、2014年から日本も参加。現在では、15か国でスコアリングを発表している。
今回トップとなったみずほでは、グループ傘下の運用会社であるアセットマネジメントOneが議決権行使ガイドラインを強化し、OECD多国籍企業指針等の国際規範を判断基準に導入したことなどにより大きくスコアを伸ばした。三菱UFJも、税務ポリシーの改訂等でスコアを伸ばし、順位が5位から3位に上昇した。他方、ゆうちょ銀行は2015年の評価開始以降、9回連続で最下位だった。
2050年までに投融資ポートフォリオの排出量ネット・ゼロを目指す動きも着々と進む。三菱UFJ、みずほ、三井住友、農林中金は、2030年中期目標を新たに掲げた。また、りそな以外の6金融機関は新規の石炭採掘事業の融資停止方針を示している。
森林セクターやパーム油セクターへの支援の際に配慮を求める動きも進みつつある。三菱UFJ、みずほ、三井住友、三井住友トラスト、農林中金は、森林セクターに対してFSC認証等の取得を求めており、パーム油セクターに対してRSPO認証の取得を求めている。上記5機関のうち、農林中金以外の4社は「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」(NDPE: No Deforestation, No Peat and No Exploitation)を遵守することも新たに求め始めた。一方、大量のGHG排出をもたらし、北米や東南アジアにおける生態系破壊が問題視されている輸入バイオマス発電事業については何ら方針が示されていないことから、各金融機関は、輸入バイオマス発電事業の支援停止方針を早急に策定する必要がある。
【参照ページ】
2023年版スコア公開:みずほが農林中金を上回り首位に