9月25日、米国証券取引委員会(SEC)は、欧州最大級の資産運用会社であるドイツ銀行の投資部門DWSがESG投資プロセスに関し誤解を招くような表現を行った件で、同社を起訴したと発表した。
DWSは1,900万ドル(約28億円)の罰金で和解し、SECが資産運用会社に科したグリーンウォッシュの罰金としては過去最大となった。
SECは、DWSの元サステナビリティ責任者デジリー・フィクスラー氏が、投資プロセスにおいてESGの統合を利用した資産運用の程度を年次報告書に虚偽記載したとの報告を受け、2年間の調査を開始した。フィクスラー氏は年次報告書の発表直前の2021年3月にDWSを解雇された。
2022年6月、ドイツ当局はドイツ銀行とDWSのフランクフルト事務所を家宅捜索。DWSが金融商品のグリーンまたはサステナビリティに関連する側面を過大に表示していたとの報道を受け、「目論見書詐欺」の疑いにつながる証拠を調査した。DWSのアソカ・ヴォアマンCEOは翌日辞任した。
SECが発表した声明によると、DWSは「ESG要素をESG統合商品のリサーチや投資推奨に組み込むための管理体制について、重大な誤解を招くような説明を行った」こと、また顧客に販売したグローバルESG統合ポリシーの側面を統合していなかったことを容認。SECはさらに、DWSはESG統合商品に関する公表内容が正確であることを保証できなかったと付け加えた。
SECは、投資家により明確で一貫性のある情報を提供し、ESGの主張の誇張や虚偽表示によるグリーンウォッシュのリスクに対処することを目的として、ESG要素を投資商品やサービスに統合していると主張するファンドやアドバイザーに対する一連の開示規則案を検討している。先週、欧州委員会は、ESGまたはサステナビリティに関連する要素に重点を置いた投資を示唆する名称のファンドに対し、資産価値の少なくとも80%をそれらの要素に従って投資することを義務付ける新規則を採択した。
DWSは、SECの発表を受けた声明の中で、今回の調査で「当社の財務情報開示やファンドの目論見書に虚偽の記載はなかった」と指摘し、同社に詐欺の意図はなかったとした上で、SECが指摘した弱点に対処するための措置をすでに講じていると付け加えた。
【参照ページ】
(原文)Deutsche Bank Subsidiary DWS to Pay $25 Million for Anti-Money Laundering Violations and Misstatements Regarding ESG Investments
(日本語参考訳)SEC、ドイツ銀行子会社DWSに1,900万ドルの罰金。グリーンウォッシュ調査を受けて