6月29日、CRMソリューションプロバイダーのSalesforceは、同社のサステナビリティ管理ソリューション「Net Zero Cloud」内に「SASB Report Builder」の提供を開始し、SASB(Sustainability Accounting Standards Board)の基準に合わせてESGデータの開示を自動化できる機能を備えたプラットフォームを拡充すると発表した。
SASBは2011年に設立され、企業の業界別ESG開示基準を確立することを使命としている。 SASBが定める基準は、投資家が報告されたサステナビリティ情報の重要性を評価し、これらの指標で企業をグローバルに比較できるようにすることを目的としている。2021年、SASBは国際統合報告評議会(IIRC)と統合し、価値報告財団(Value Reporting Foundation)を発足させた。IIRCはその後、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の発足に伴い、IFRS財団への統合を発表した。
気候変動やESGに関する規制要求事項の多くは、SASB基準を含むか、もしくはSASB基準を参照している。先週、国際財務報告基準(IFRS)のISSBは、新しいグローバルなサステナビリティと気候に関する開示基準を正式に発表した。この基準では、業種に特化した開示が求められ、企業はサステナビリティに関連するリスク、機会、関連する指標を特定するためにSASB基準を考慮することが求められる。
欧州、英国、米国など世界の主要な管轄区域の規制当局は、企業に対するサステナビリティ報告義務要件を導入、または準備中であり、そのほとんどがISSB基準の影響を大きく受けることになる。
Salesforceは、信頼性の高い環境データを追跡、分析、報告する機能により、ユーザーが環境への影響を360度把握できるNet Zero Cloudを2019年に(「Sustainability Cloud」として)発表し、昨年には、同社のポートフォリオ全体のソリューションを統合し、Slackのサプライヤーコラボレーションテクノロジーを追加したNet Zero Cloud 2.0をリリースし、Salesforce傘下のTableauのCRMダッシュボードを利用して、サステナビリティに関する知見を提供している。2022年12月、SalesforceはAutomate ESG Reportingソリューションを発表し、Net Zero Cloudに社会とガバナンスのデータ管理機能を追加した。
新しいSASB Report Builderにより、同社は消費財、金融、サービス、テクノロジー&コミュニケーションを含む14業種にわたるESGレポートを作成する機能を追加し、プラットフォームのESGレポート機能を強化している。
【参照ページ】
(原文)Salesforce Expands Net Zero Cloud with ESG Report-Building Feature
(日本語参考訳)Salesforce、サステナビリティ・プラットフォームにESGレポート機能を追加