6月22日、世界保健機関(WHO)は、抗菌薬耐性(AMR)と闘うための最も緊急な人類の健康上の優先課題に取り組むため、世界の科学者のための初のグローバル研究課題を発表した。本アジェンダは、持続可能な開発目標(SDGs)に沿って、2030年までに解決しなければならない薬剤耐性菌、真菌、結核菌に関する40の研究課題を概説している。
ヒトの健康におけるAMRのためのWHO世界研究アジェンダは、AMRの疫学、負担、促進要因、感染や耐性出現を予防するための状況に応じた費用対効果の高い戦略など、革新的で実施的な研究を促進するものである。
また、新たな診断検査や改善された治療レジメンの発見、データを収集し政策に反映させるための費用対効果の高い方法の特定、資源が限られた環境において現行の介入策をより効率的に実施する方法なども含まれる。最終的には、作成されたエビデンスは、特に低・中所得国において、抗菌薬耐性への対応を強化するための政策や介入策に反映される。
研究課題は、過去10年間に発表された3000以上の関連文書のレビューに基づいて作成された。レビューの結果、2000の未解決の問題や知識のギャップが特定され、AMRの専門家の大規模なグループによってさらに整理された。優先順位が付けられた後、最も重要な40の研究課題が決定された。
AMRは、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫が時間の経過とともに変化し、抗菌薬が効かなくなることで発生する。感染症の治療を困難にし、病気の蔓延、重症化、死亡のリスクを高める。
その結果、抗菌薬が効かなくなり、感染症が体内にとどまり、他の人に感染するリスクが高まる。AMRは依然として人類が直面する世界的な公衆衛生の脅威の上位に位置し、2019年には世界で500万人近い人々の死亡に関連している。さらに、国際貿易、医療、生産性に影響を及ぼす、世界経済にとっての脅威にもなりうる。対策を講じなければ、AMRは2050年までに世界経済に100兆米ドルの損失をもたらす可能性がある。
【参照ページ】
(原文)WHO outlines 40 research priorities on antimicrobial resistance
(日本語訳)WHO、抗菌薬耐性に関する40の優先研究課題を発表