5月19日、機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)は、モントリオール生物多様性フレームワーク(GBF)を踏まえ、G20財務相に対し、農業補助金を気候や自然の目標に沿った形で再利用することを求める投資家声明を発表した。
本声明は、各国が2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量をネット・ゼロにするという約束と同時に、2022年12月に昆明・モントリオール生物多様性グローバルフレームワーク(GBF)が合意されたことを受け、ターゲット18の「2025年までに特定し、比例的、公正、公平、効果的かつ公平な方法で生物多様性に有害な補助金を含むインセンティブの廃止、段階的廃止、改革 」を達成できるよう、農業補助金の改革に取り組むことを求めている。
本声明では、各国政府が、価格歪曲や環境的・社会的に有害な農業支援を年間約5,000億ドル(約70兆円)行っている事実について言及。また有害な補助金は、特定の高炭素農産物の過剰生産と過剰消費を助長しており、補助金制度が自然に与える損害は、年間40億ドル(約5,600億円)から60億ドル(約8,400億円)と見積もられていることにも触れた。
FAIRRは、農業補助金の改革が気候・自然保護も含むようにするための4つの提言を行った。
- 公共財や環境サービスを提供するコストに見合った財政支援を加盟国や農家に提供するために、測定可能でパフォーマンスに基づく条件を用いる
- 気候や環境を犠牲にして特定の生産物の収量を優先するインセンティブを転換し、持続可能な農業に価値を置く新たな金銭的インセンティブとバランスをとる
- 関連するGHG排出量が多い単一品目の移転について、生産指標から支援を切り離す
- 公正な移行メカニズム、または改革によって影響を受けるステークホルダーを支援するために必要な資金を確保するための資金に利用できる資金を増やす
【参照ページ】
(原文)G20 Agricultural Subsidies Statement
(日本語訳)FAIRR、G20財務相に農業補助金改革を要請