5月3日、IEAは新しい報告書を発表した。本報告書では、石油・ガス産業がその排出量を大幅に削減し、世界が国際的なエネルギー・気候目標の達成に近づくために取るべき緊急措置を検討した。
本報告書「Emissions from Oil and Gas Operations in Net Zero Transitions」は、11月にドバイで開催されるCOP28気候変動会議に向けた議論に役立てることを目的としている。今年発表されたWorld Energy Outlookの特別報告書の一部であり、ネット・ゼロ移行における石油・ガス産業の役割を検証している。
石油・ガスの生産、輸送、加工は、2022年に51億トンのCO2を排出した。国際エネルギー機関の「International Energy Agency’s Net Zero Emissions by 2050 Scenario」では、2030年までに石油・ガス事業からの排出量を60%削減しなければならないとしている。
本報告書は、この削減を達成するために、メタン排出への取り組み、緊急時以外のフレアリングの廃止、上流施設の低排出電力化、石油・ガスプロセスへの炭素回収・利用・貯蔵の装備、製油所における低排出水素の使用拡大など、5つの重要な手段を挙げている。
石油・ガスの排出量削減を達成するためには、今後10年間で約6,000億米ドル(約81兆円)の支出が必要である。IEAは、この支出は2022年に石油・ガス生産者が得た収入に比べれば、ほんの一部に過ぎないと強調し、必要な初期費用もすぐに回収できると述べた。
メタンガス排出への対策は、石油・ガス産業の操業による排出を制限するための最も重要な対策である。また、経済全体の排出量を削減し、短期的な地球温暖化を抑制するために、最も費用対効果が高く、インパクトのある対策の一つである。今年初め、IEAは「Global Methane Tracker」の最新版を発表し、世界的なエネルギー危機の逆風にもかかわらず、2022年のメタン排出量が頑なに高いままであることを明らかにした。
【参照ページ】
(原文)New IEA report highlights the need and means for the oil and gas industry to drastically cut emissions from its operations
(日本語訳)IEA、石油・ガス産業が事業活動から排出されるガスを大幅に削減する必要性と手段を強調