4月、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)は、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)開示に関する金融機関パイロットプログラムの結果をまとめた報告書を発行した。
本報告書は、UNEP FIが主導し、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のリスク管理・開示フレームワーク案をテストするために、民間金融セクターとともに行った大規模なグローバルパイロットテストの結果を紹介するものである。
2023年3月にTNFDのドラフトフレームワークの最新v0.4がリリースされたことを受け、本報告書では、選択した影響の大きいセクターに対するTNFDフレームワークの現在の適用性を評価した40以上の世界の金融機関の知見と洞察に基づく実践的ケーススタディを紹介している。同パイロット版は、金融機関が自然に関連する依存関係、影響、リスク、機会を明らかにし、世界の金融の流れを自然を否定する結果から自然を肯定する結果へとシフトさせるという最終目標を支援することを目的としている。
パイロットプログラムに参画していたのは、アクサ、チューリッヒ保険、バンク・オブ・アメリカ、HSBC、ドイツ銀行、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、バークレイズ、ABNアムロ、ラボバンク、サンコープ、新韓金融グループ、中国信託金控等である。日本からは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、農林中央金庫、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランス・グループ・ホールディングスが参画した。またMSCI、FAIRR、TNFD、CDC Biodiversite、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)、地球環境ファシリティ(GEF)、世界自然保護基金(WWF)がサポートメンバーとして入った。
補完的な報告書では、自然関連問題と経済・金融活動の接点に焦点を当てた各パイロットグループから得られた主な知見が紹介されている。
UNEP FIは、2023年6月までTNFDフレームワークのパイロットを継続する予定である。また、UNEP FIは、2023年6月1日までの公開協議期間中に、金融部門がTNFDに意見を提供することを奨励している。
【参照ページ】
(原文)Unboxing Nature-related Risks: Insights from the UNEP FI-led TNFD Piloting Programme
(日本語訳)自然関連リスクの箱詰め解除: UNEP FI主導のTNFDパイロット・プログラムからの洞察