3月13日、欧州中央銀行と欧州の三大金融規制機関である欧州監督当局(ESA)は、投資家が気候変動リスクをより適切に認識できるようにすることを目的として、ストラクチャード・ファイナンス商品に気候変動関連の新たな開示要件を導入する計画を発表した。
ストラクチャード・ファイナンス商品とは、一般的に、証券化プロセスを通じて作られた原資産にリターンが連動する投資商品を指す。証券化取引に関わる資産には、不動産モーゲージや自動車ローンが含まれることが多く、ECBとESAは、これらの資産が物理的または移行関連の気候リスクに直接さらされる可能性があると述べている。
ストラクチャード商品の気候関連情報開示の強化は、金融機関や金融商品のより広範な透明性と情報開示の強化に向けた規制当局と中央銀行の取り組みの一環をなすものだ。欧州銀行監督機構(EBA)、欧州保険・職業年金監督機構(EIOPA)、欧州証券市場庁(ESMA)を含むESAは、EUタクソノミとSFDR規制の下でアドバイスや基準を策定しており、ECBは気候変動への配慮を金融政策の枠組みに取り入れており、最近では金融セクターの気候関連リスクの分析に役立つことを目的に一連の新しい統計指標を公表している。
両機関は、強化された開示基準の策定を発表する共同声明において、次のように述べている。
「欧州監督機関(ESA)とECBは、それぞれの任務の中で、より持続可能な経済への移行に貢献することを約束する。欧州連合(EU)では、高い環境・社会・ガバナンス(ESG)基準を満たす金融商品への投資の重要性が高まっており、ストラクチャードファイナンス商品においても、原資産に関する気候関連情報を開示することが優先されている。」
また、各団体は、気候関連リスクの評価や対処に問題があることに加え、ストラクチャード・ファイナンス商品の原資産に関する気候関連データの欠如は、EUタクソノミやSFDR規制における商品の分類を阻害していると指摘している。
声明によると、ESMAは、他のESAsとECBの貢献により、現在、気候変動関連情報を含む証券化資産の開示基準の強化に取り組んでいるとのことだ。ECBとESAはまた、強制的な開示要件がない現状でも、投資家が商品の裏付け資産の気候関連リスクを評価するために必要なデータを収集するよう、オリジネーターに呼びかけた。
【参照ページ】
(原文)Joint ESAs-ECB Statement on disclosure on climate change for structured finance produce