3月16日、石油・ガス・化学の総合企業であるOMVは「Strategy 2030」を発表し、石油・ガス生産から再生可能燃料やサーキュラーソリューションへの移行、2050年までにネットゼロエミッション企業への転換を目指す計画を明らかにした。
新戦略の一環として、OMVは2030年までに石油・ガス生産量を約20%削減し、2050年までにエネルギー利用のための石油・ガス生産の停止を目標としている。
2050年のネット・ゼロ目標には、スコープ1、2、3の排出が含まれ、自社が直接管理する範囲だけでなく、上流と下流のバリューチェーン全体の排出も含まれる。OMVは新戦略のもと、2030年までに事業活動における排出量を30%、製品ポートフォリオにおける排出量を20%削減する目標を掲げている。
OMVは、これらの目標を達成するための重要な手段として、ポートフォリオの改善・効率性の向上・再生可能エネルギー購入の増加・化石精製製品の処理量と販売量の削減・リサイクル原料や持続可能な原料の割合の増加などを挙げている。
OMVの探鉱・生産事業は、化石燃料の削減とサステナブルエネルギーソリューションの開発に注力している。2030年までに原油の生産量を約30%、天然ガスの生産量を約15%削減し、石油・ガス生産への投資は、ガスプロジェクトを中心に2026年まで継続した後に大幅に減少させる予定だ。
さらに、OMVは温室効果ガス排出量削減のため、地熱エネルギーや炭素回収貯留(CCS)などの低炭素ビジネスの開発に約50億ユーロ(約6,600億円)を投資する予定で、キャプティブ用の太陽光・風力発電を少なくとも1TWhまで拡大し、ガスや水素の貯蔵ソリューションの機会も探る計画である。また、石油生産に伴う随伴ガスの日常的なフレアリングやガス抜きは、2030年までに段階的に廃止するとしている。
OMVの精製・販売事業は、欧州におけるサステナブル燃料および化学品原料のリーディングカンパニーとなることを目指す。同社は2030年までにサステナブル燃料および化学品原料の生産量を年間150万トンに引き上げる計画であり、そのうちサステナブル航空燃料(SAF)がほぼ半分を占めることになる。さらに、OMVは2030年までに4億ユーロ(530億円)以上を投資し、2,000カ所以上のe-チャージポイントを提供し、SAFの販売量を70万トン以上に増やす計画だ。
また、世界的なバージン・ポリオレフィンの需要拡大に伴い、化学品・素材事業をさらに強化・拡大・多様化し、同社の主要な成長ドライバーにする。OMVグループは、再生可能エネルギーおよび循環型経済ソリューションの分野でも主導的な地位を占めると述べている。
【参照ページ】
(原文)OMV Strategy 2030: Fundamental shift from linear towards circular business approach
(日本語訳)OMV、石油・ガスから再生可能燃料・循環型ソリューションへのシフト戦略を発表