裁判所、KLMオランダ航空に対するグリーンウォッシュ裁判の本審査を許可

6月8日、オランダの運動家が航空会社KLMを相手にグリーンウォッシングを主張して起こした訴訟は、アムステルダム地方裁判所から本審査に進む許可を得た。

環境NPOのFossielvrijとReclame Fossielvrijが提訴し、環境法律団体のClientEarthが支援した本訴訟は、航空会社の「Fly Responsibly」広告に対し、KLM便が深刻化する気候危機に寄与しないことを示唆する広告やオフセットマーケティングはEU消費者法が定める基準に違反していると主張している。

グリーンウォッシングを理由とする法的措置は、エネルギー大手TotalEnergiesが「エネルギー転換の主要プレーヤー」と主張したキャンペーンをめぐって訴訟を起こすなど、最近、主要な炭素集約型産業の企業に対して活発化している。

KLMのFly Responsibly広告に対する法的措置は、航空会社や業界全体が持続可能な航空に進んでいるという印象を与えることで、KLMのフライトのサステナビリティや気候影響への対処計画について誤った印象を与え、欺瞞的であると述べている。

訴状によると、バイオ燃料や合成燃料の使用といった航空業界の気候変動対策は、フライトを持続可能にするには十分ではないと主張している。また、フライトを予約した乗客がカーボンオフセット製品を使用して「影響を軽減」できるKLMのCO2ZEROサービスは、植樹によってフライトによる排出量を相殺または削減できることを示唆しているため、誤解を招くとされている。

また、2050年までのネット・ゼロの目標は「より持続可能な未来を創る」という航空会社の主張にも異議を唱えており、ClientEarthは、航空会社の成長計画との矛盾を指摘している。

【参照ページ】
(原文)‘Greenwashing’ lawsuit against KLM to proceed, Dutch court rules
(日本語訳)裁判所、KLMオランダ航空に対するグリーンウォッシュ裁判の本審査を許可

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