4月4日、ISSBの発表により、IFRS財団の国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)が開発中の新しい気候変動開示基準に基づいて報告する企業は、まず気候変動関連の報告に集中できるよう、一部のサステナビリティ関連リスクに関する開示にさらに1年の猶予が与えられることが明らかになった。
ISSBは、2021年11月のCOP26気候変動会議で正式に発足し、IFRSサステナビリティ開示基準の開発を目的としている。これは、各国・地域が単独で使用したり、より広範な報告フレームワークに組み入れることができる開示要件のグローバルなベースラインを提供することを目的としている。理事会は、2022年3月に、持続可能性関連財務情報の一般要件と気候関連開示をカバーする最初の2つの報告基準の最初の公開草案を発表し、最近、新しい基準が2024年1月から適用され、企業は2025年に基準に照らして開示を開始すると発表した。
ISSBが導入した新たな経過措置は、12月に発表したScope 3排出量、すなわち企業のバリューチェーンに由来し、企業の直接的な支配を超える排出量についても、企業が報告する期間を1年延長すると発表したことを受けたものである。
ISSBは会議後の声明で、「投資家は、投資の意思決定に役立てるため、あらゆるリスクと機会に関する一貫した包括的な持続可能性関連情報を必要としているが、気候関連のリスクと機会に関する開示の必要性が最も緊急であると指摘している」と述べ、新たな救済措置を追加することを発表した。
現在実施されている救済措置では、新基準を使用する企業は、報告初年度に気候関連のリスクと機会に関する報告を求められるが、その他の持続可能性関連リスクに関する開示、関連財務諸表と同時に年次持続可能性関連開示を提供する、スコープ3排出量の開示、排出量の測定にグリーンハウスガスプロトコルを使用する、などは1年延長される予定である。
また、ISSBは今回の会合で、気候関連のリスクと機会について報告する企業に対し、気候以外の持続可能性に関連するリスクと機会についての比較情報を提供するために、1年延長することを決定した。
【参照ページ】
(原文)ISSB decides to prioritise climate-related disclosures to support initial application
(日本語訳)ISSB、企業に一般的なサステナビリティ報告書の作成期間を1年延長