バッテリー企業Recharge Industries、経営難のBritishvoltを買収し、英国初のギガファクトリープロジェクトの計画を復活

経営難に陥った英国のギガファクトリー新興企業 Britishvolt を豪州の Recharge Industries に売却

2月27日、オーストラリアに拠点を置くバッテリー技術のスタートアップRecharge Industriesは、経営難に陥っている英国のバッテリー企業Britishvoltを買収し、英国初のギガファクトリープロジェクトの計画を復活させることを発表した。

2019年に立ち上げられたBritishvoltは、ノーサンバーランド州に年間30万個以上のリチウムイオン電池を生産でき、3000人以上を雇用できる38億ポンド(約6,238億円)のバッテリーシーセル・ギガプラントの建設を計画していた。

同社は、鉱山大手グレンコアを含む投資家から資金を調達し、昨年初めには英国政府が17億ポンド(約1,290億円)の自動車変革基金を通じてギガファクトリープロジェクトに1億ポンド(約164億円)の投資を約束し、民間からの追加投資を呼び込むことを意図していた。しかし、十分な資金調達ができなかったと報じられた後、プロジェクトは中断され、Britishvoltの創業者でCEOのOral Nadjariは2022年8月に退任した。2023年1月に管財人となったEYは、「当社の債権者に全額返済されないことが予想される」、「株主への分配可能な資金がない」と発表した。

発表された声明の中で、EYは「非公開の金額でRechargeに売却することを確認し、事業の売却は、英国のエネルギー転換に必要な技術やインフラの開発を支援するのに役立つだろう」と付け加えている。

Recharge Industriesは、ニューヨークの投資会社Scale Facilitationのポートフォリオ企業で、2022年に設立され、オーストラリア初の大規模リチウムイオン電池生産施設を開発している。同社は、Britishvoltプロジェクトが「英国初のギガファクトリーを実現する」ための計画を提示したというが、メディアの報道によると、同社はまずEVではなく、グリッドスケールやビル用などのエネルギー貯蔵用途の電池に注力することを目指しているという。

【参照ページ】
(原文)Recharge Industries™ Completes Deal for Britishvolt

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