国内サステナビリティ情報開示、保証制度が制度化へ、SSBJ基準と連動、限定的保証から段階導入

12月19日、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ(WG)」は、第三者保証の枠組みを明確化する報告書案を公表した。本案は、12月22日の審議会にて議論されるものであり、SSBJ基準に基づく開示義務化と連動した保証義務化を段階的に導入する方針を示している。

開示義務の翌年度から「保証」を義務化

本報告によれば、SSBJ基準に準拠したサステナビリティ情報の開示は、東証プライム市場上場企業のうち時価総額の大きい企業から順次義務化される。保証義務は各社の開示義務化開始の翌年度から適用される設計になっている。また、導入初期の保証範囲については、最初の2年間は限定的保証とし、その後の拡張については国際動向や実務の成熟度を踏まえて検討するとしている。

保証業務は登録制、監査法人以外も対象に

本報告案では、保証業務の担い手については、登録制(法人)を採用するとしている。監査法人に限定せず、一定の要件を満たせば非監査法人の登録も可能とされた。なお、登録要件として、業務執行責任者の設置、品質管理体制の整備、倫理・独立性の確保などが求められるほか、登録後は金融庁が直接、検査・監督を行う枠組みが示されている。

保証基準については、ISSA5000などの国際基準と整合的な基準に準拠することが明記されており、日本独自基準に閉じない形で制度化が進む見通しだ。

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本報告では、保証制度とあわせて虚偽記載に関する責任の整理について、一定の場合には企業および保証業務実施者が責任を負わないセーフハーバー・ルールについても触れている。サステナビリティ情報における責任について、有価証券報告書全体を検討するディスクロージャーワーキング・グループにて検討されている。

国内のサステナビリティ情報は「開示するだけの情報」から「保証を前提に評価される情報」へと位置づけが変わりつつある。2026年からは企業には、算定プロセス、内部統制、保証対応を含めた開示体制の高度化が求められる局面に入ったといえそうだ。

(原文)金融審議会 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ 報告

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