炭素会計、主要企業らが「Carbon Measures」設立

10月21日、エクソンモービル、BASF、ADNOC、サンタンデール銀行、ネクステラ・エナジーなどが参加する新たな国際連合体「Carbon Measures」が発足した。目的は、現在断片化している炭素会計の仕組みを金融報告基準のように統一し、企業や製品単位で正確かつ比較可能な排出データを提供することにある。

現在の炭素会計は任意かつ不統一で、重複計上のリスクが高く、気候目標やカーボン市場の信頼性を損ねている。新連合は、金融レベルの精度をカーボン報告に導入し、資本市場が低炭素技術を正当に評価できる環境を整えることを目指す。

排出量データの信頼性は、実効的な気候政策やサプライチェーン管理、カーボン市場運営の前提条件である。鉄鋼、燃料、セメント、化学など世界の温室効果ガス排出の半分以上を占める産業部門を重点対象とし、科学的根拠に基づく共通会計基準を策定する計画だ。

元EY幹部のエイミー・ブラキオがCEOを務め、まず主要産業製品のカーボン強度基準を含む統一的会計枠組みを構築する。その後、政策立案者、学界、市民社会との協働を通じて市場制度への統合を進める見通しである。

ブラキオCEOは「Carbon Measuresは競争と投資を促進し、現実世界での排出削減を加速させる仕組みを構築する」と述べた。

関連するオリジナル解説:炭素会計導入のヒントと最新ツールの動向

(原文)Global coalition launches to overhaul carbon accounting
(日本語参考訳)炭素会計の見直しに向けた国際連合が発足

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