ISS STOXX、気候リスク分析を強化 地理空間データ企業を買収

8月5日、金融市場向けデータ・分析サービス大手のISS STOXXは地理空間リスク分析を手がける英スタートアップのSust Global社を買収すると発表した。気候変動による物理的リスクの分析能力を強化し、機関投資家や保険会社など顧客の高度なニーズに応える狙い。

Sust Global社は2020年設立。独自のAI(人工知能)エンジンを用いて衛星データなどを解析し、特定の地域や資産(工場、不動産など)が抱える気候・自然関連の物理的リスクを高い解像度で可視化・定量化する技術を持つ。洪水や干ばつ、山火事といった災害リスクを資産レベルで特定できるのが強みだ。

近年、機関投資家の間では、投資先企業が保有する資産が気候変動によってどのような物理的損害を受ける可能性があるか、そのリスクを正確に把握したいという需要が急速に高まっている。

ISS STOXXのサステナビリティ事業責任者であるティル・ユング氏は、「Sust GlobalのプラットフォームとAIを駆使した物理的リスクモデルは、我々が保有する企業・資産レベルのデータと非常に相性が良い」と述べた。今回の買収により、両社のデータを組み合わせることで、顧客である金融機関は、投融資先のデューデリジェンス(資産査定)やリスク管理、規制対応をより精緻に行えるようになる。

Sust Globalの共同創業者兼CEOであるジョシュ・ギルバート氏は、「投資家がポートフォリオのリスクを監視するための最先端ソリューションを提供するというISSの使命を、さらに推進できることを嬉しく思う」とコメントした。

ISS STOXXはドイツ取引所グループ傘下で、ESG(環境・社会・ガバナンス)評価や株価指数、議決権行使助言などを世界中の金融機関に提供している。今回の買収は、同社の中核事業であるサステナビリティ関連サービスの競争力を一層高める動きとなる。

(原文)ISS STOXX to Acquire Geospatial Solutions Firm, Sust Global
(日本語参考訳)ISS STOXX、地理空間ソリューション企業Sust Globalを買収

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