欧州委員会、SFDR規則の簡素化と更新に向けた意見募集を開始

5月2日、欧州委員会は、持続可能な金融情報開示規則(SFDR)の改訂に向けた意見募集を開始した。これは、規則の有用性を向上させ、投資家に対する報告およびコンプライアンス負担を軽減することを目的としている。SFDRは、2021年から適用されており、金融市場参加者が持続可能性情報を投資家に伝達する方法を設定している。規則の目標には、民間資金を誘致し、より持続可能な方向への移行を促進することや、企業が移行関連の機会を追求するための手助けをすることが含まれる。

今回の意見募集は、2023年に開始されたSFDRフレームワークの包括的なレビューの一部である。これまでのフィードバックで、規則の目的に対する強い支持がある一方、SFDRの実施と使用に関する課題が明らかになっている。具体的には、重要な概念の法律的明確性の欠如、一部開示要件の限定的な関連性、持続可能な金融フレームワークの他の部分との不一致、データの可用性に関する問題などが挙げられている。これらの課題により、金融市場参加者には様々な実施上の困難と不当な運営コストが発生し、EU内の投資家に提供される異なる金融商品の持続可能性についての明確さと比較可能性が欠如している。これがグリーンウォッシングのリスクや特定セクターの不当な排除を招いている。

欧州委員会はこれらの問題に対処するため、SFDR規則の法律的明確性を高め、持続可能な金融フレームワークとの一貫性を確保することを目指している。具体的な目標としては、SFDRの主要概念を簡素化し、開示要件を整理・削減し、投資家にとって最も重要な情報に焦点を当てることが含まれる。また、持続可能性関連の主張を持つ金融商品のカテゴライズの可能性を探ることも示している。商品は、持続可能性の目的に寄与する商品、移行に寄与する商品、その他のESG戦略に寄与する商品としての様々な持続可能性目標を反映するカテゴリーを考慮する。

意見募集は2025年5月30日まで開かれており、欧州委員会は2025年第4四半期にSFDRの改訂を公表することを目指している。今回のイニシアティブは、持続可能な投資を促進し、資本市場を拡大し、EUの企業が持続可能な経済への移行を進めるための資金調達機会を深めることに寄与することが期待されている。

(原文)Revision of EU rules on sustainable finance disclosure
(日本語参考訳)持続可能な金融情報開示に関するEU規則の改正

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