スタンダードチャータード、初のソーシャルボンド発行—新興国の持続可能な発展を支援

3月11日、国際的な金融機関であるスタンダードチャータード銀行は、初のソーシャルボンドを発行し、新興国市場における持続可能な発展を促進する。8年満期・7年コールオプション付きの10億ユーロ(約1,600億円)のソーシャルボンドは、中小企業(SME)への融資、女性起業家支援、教育・医療へのアクセス向上、基礎インフラおよび食料安全保障への投資などに充てられる予定である。同行の「Sustainability Bond Framework」に基づき、持続可能な社会活動への資金供給を目的とする。

新興市場における持続可能な発展を実現するためには、年間4.2兆米ドル の投資が必要とされている。これに対し、スタンダードチャータードは民間資本を動員し、資金を必要とする市場へ供給する役割を果たす。今回のソーシャルボンド発行による調達資金は、同行の55億米ドル(約8,800億円) のソーシャル資産プールに基づいて配分され、その99%がアジア、アフリカ、中東 に展開される。特に、インド(57%)、マレーシア(10%)、バングラデシュ(6%)、中国本土(5%)、ネパール(4%) の5カ国が主要な資金供給先となる。

スタンダードチャータードのグループCFOであるディエゴ・デ・ジョルジは、「本ソーシャルボンドの発行は、当行のグローバルな資金調達力と、新興市場における資金供給力の両方を活かすものだ」と述べた。また、CSOのマリサ・ドリューは、「99%のソーシャル資産がアジア、アフリカ、中東に集中していることが、当行の持続可能性戦略の特徴である」とし、地域社会の発展に貢献する金融ソリューションを提供する重要性を強調した。

同行は2024年9月時点で、233億米ドル(約3.7兆円) の持続可能な金融資産を保有しており、その78%がアジア、アフリカ、中東に展開されている。今回のソーシャルボンド発行は、同社の「Here for Good」というブランド理念に基づき、包括的な成長と持続可能な発展を推進する金融戦略の一環として位置づけられている。

【参照ページ】
(原文)Standard Chartered issues first Social Bond
(日本語参考訳)スタンダード・チャータード、初のソーシャルボンドを発行

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