4月1日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、サステナブルファイナンスの実行額目標を2019年から2030年の累計で、従来の35兆円から100兆円に大幅に引き上げた。同社は今後の資金需要の高まりを見据え、すでに実績を積み上げた上でこの判断を下した。
また、MUFGは今回、「MUFG Climate Report 2024」を発行した。この中で、自動車セクター、航空セクター、石炭セクター向けの温室効果ガス排出削減に関する2030年中間目標を設定した。自動車セクターと石炭セクターでは、他の企業と比べて野心的な目標を掲げており、これは三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)も先日目標を発表した中で際立っている。
具体的には、自動車セクターでは、国際エネルギー機関(IEA)や日本自動車工業会(自工会)の1.5℃シナリオに基づき、2030年までに燃費水準を大幅に削減することを目指す。航空セクターでは、同様にIEAの1.5℃シナリオに基づき、旅客輸送距離を2030年までに大幅に削減する。
石炭セクターでは、経済協力開発機構(OECD)諸国向けには2030年までにファイナンス残高をゼロにするとし、非OECD諸国向けには2040年までに同様にファイナンス残高をゼロにする計画である。これにより、石炭セクターにおけるファイナンスの方針を大きく変革する。
さらに、MUFGは「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を改訂し、資源採掘事業やバイオマス発電へのファイナンスに関する規定を強化した。トランジション評価フレームワークやサステナビリティリスク管理室の設置など、サステナビリティに関する取り組みを一層強化している。
さらに、MUFGは初となる「MUFG TNFDレポート」も発行し、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のフレームワークに基づき、同社のガバナンスや戦略を説明した。目標としては、サステナブルファイナンスの実行額100兆円を中心に据え、食料・農業分野でのソリューション開発にも力を入れる方針である。
【参照ページ】
MUFG Climate Report 2024・MUFG TNFD レポートの発行、その他サステナビリティに関する取り組みについて