3月20日、テキサス州教育委員会は、ブラックロックへの投資を終了し、85億ドル(約1兆2,800億円)の資金を引き揚げると発表した。同委員会のアーロン・キンゼー委員長は、ブラックロックの「ESG運動における圧倒的かつ持続的なリーダーシップ」を理由に声明を発表した。
ブラックロックは、世界最大の投資運用会社であり、気候変動やエネルギー転換に関連する投資テーマで投資界をリードする存在として、米国の共和党政治家による反ESG運動の中心的存在となっている。彼らは、ブラックロックが社会的アジェンダに従っている、あるいは「ボイコット」してエネルギー企業に損害を与えるよう働きかけていると非難している。
テキサス州は、反ESGイニシアティブの最前線で最も積極的な州の一つであり、最近では、英国の銀行バークレイズをそのESG方針を理由に地方債市場から追放したり、エネルギー企業のボイコット疑惑を理由に資産運用会社をダイベストメントの対象とするリストを作成したり、ブラックロックとステートストリートの幹部を対象に、ESGと気候変動に関連するスチュワードシップ、エンゲージメント投票、投資慣行についてヒアリング等を実施した。
同州は反ESGの主張をますます積極化させているが、一方で、その行動は投資家にとって大きな代償を伴う可能性がある。いくつかの州はESG投資を認めない案を提示しているが、その多くは、こうした反ESGの取り組みによって生じるであろうコストやリターンの損失見積もりに対する反発に直面している。例えば、テキサス州郡・地区退職年金制度(TCDRS)は、同州の公的退職年金投資制度におけるESG投資を禁止する法律案を昨年分析し、この法律が退職年金制度に与える損失は10年間で60億ドル(約9,000億円)以上となり、同制度はトップクラスの投資マネージャーと提携できなくなると試算している。
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Texas schools fund pulls $8.5 billion from BlackRock over ESG investing