2月3日、スペインの電力大手企業Iberdrolaは、米国における洋上風力発電の生態系への潜在的影響を特定し、緩和するための計画を発表した。本計画は、「米国の大西洋海域における洋上風力発電、野生生物、生息地のための統合科学計画」と呼ばれる。
Iberdrolaは、2021年に同社子会社アバングリッドを通じて、米連邦政府機関、大西洋沿岸の各州、洋上風力発電会社、環境NGOと共同で「地域野生生物科学コラボレーション(RWSC)」を設立した。本組織は、洋上風力発電と生態系の研究やデータ収集・管理に協力してきた。
今回の科学計画は、RWSCメンバーと2年以上にわたる共同作業の成果であり、野生生物の保護や管理、保全に役立つ研究を支援することを目的としている。具体的には、海洋哺乳類、鳥類、コウモリ、ウミガメ、保護対象魚、海洋学、海底生息地、新技術に関するプロジェクトに焦点を当て、一貫した手法とデータ標準の使用を促している。
アバングリッドは現在、米国史上初の大規模洋上風力発電所である「ヴィンヤード洋上発電所1号」を建設中である。発電所の設備容量は806MWであり、マサチューセッツ州内の40万戸以上の家庭と事業所に電力を供給し、長期にわたり正社員3,600人分の雇用を創出する見込みだ。
ただし、ヴィンヤード洋上発電所1号は現在、クジラの回遊パターンや生息地の可能性を考慮し、杭打ち作業を一時中止している。そして、春から建設を再開する予定としている。
本計画の発表により、洋上風力発電が持つ潜在的な生態影響に対する関心が高まる中、Iberdrolaは環境保護と再生可能エネルギーの両立を目指した取り組みを進めていることが明らかとなった。
【参照ページ】
(原文)Iberdrola reinforces its commitment to marine biodiversity and the responsible development of offshore wind energy
(日本語参考訳)Iberdrola、海洋生物多様性と洋上風力発電の責任ある開発へのコミットメントを強化