花王、発酵生産によるバイオ芳香族化合物「没食子酸」の販売開始

12月13日、花王は、微生物を利用した発酵生産によって、糖からバイオ没食子酸を製造することに成功したと発表した。芳香族化合物のひとつである没食子酸(ぼっしょくしさん)は、酸化防止剤や半導体の回路形成の原料として使用されるなど工業的に重要な素材である。

没食子酸は、植物ポリフェノールのひとつで、ボイラー用防サビ剤や半導体の回路形成の原料などに幅広く利用されている工業的に重要な芳香族化合物。しかし、現在はウルシ科植物にフシムシが寄生してできる虫こぶ(五倍子)から抽出して製造するため、収量が天候に左右されやすく、生産地も限定されている。没食子酸をはじめとする芳香族化合物を人工的に製造するには、複雑な工程を要するため、商業的な製造例は限られてきた。

花王は今回、長年培ってきた洗剤用酵素生産研究の知見を活かした発酵生産技術により、没食子酸を高効率で生産することに成功。バイオ没食子酸として2023年12月から日本での販売を開始し、アジアや欧州など海外での販売も予定している。また、将来的には没食子酸以外の芳香族化合物の発酵生産も行う予定である。

【参照ページ】
発酵生産によるバイオ芳香族化合物「没食子酸」の販売開始 工業的に重要な化学素材を安定供給へ

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る