12月19日、ドイツのIT大手、SAPと農業ソリューション企業VISTA(BayWa傘下)は、人工衛星画像とAIを利用した農業デジタルツイン・ソリューションを共同で提供することを発表した。このサービスは、新興国での展開も視野に入れている。
SAPは、現在のペースでは気候変動や地政学的な紛争の影響を受け、食料システムが今後悪化すると予測している。また、2050年までには食料価格が80%上昇し、2080年までには作物の収量が最大30%減少する可能性があると述べる。
提供されるサービスでは、土壌の質、作物の品種と健康状態、水の利用可能性、天候、その他の農業活動に関する様々なデータを、人工衛星画像とAIモデルを用いて取得し、デジタルツイン環境で分析する。これにより、持続可能な農業と食糧の増産の両方を同時に達成することを目指している。
サービスでは、デジタルツインで構築されたシミュレーションを使用し、収量の予測を行う。また、畑の場所や天候パターンに基づいて正確なリスクを評価し、農家はその情報に基づいて最適な土づくり、灌漑、施肥、輪作、収穫時期を自動化し、持続可能で効率的な高収量を実現することが期待されている。すでにVISTAのシステムを活用したインドの大豆農家では、旱魃にもかかわらず過去最高の収量を達成していると報告されている。
【参照ページ】
(原文)Digitalizing Food Security: AI and Digital Twins Balance Farm-to-Consume Value Chains
(日本語参考訳)SAPとVISTAが協力し、AIと人工衛星画像を活用した農業デジタルツイン・ソリューションを提供