9月7日、脱炭酸鉄鋼の新興企業であるH2グリーンスチールは、15億ユーロ(約2,370億円)の資金を調達したと発表した。調達資金は、従来の高炉技術よりも95%低い排出量で鉄鋼を生産できる世界初の大規模グリーンスチール工場の建設資金に充てられる。
製鉄は世界的にCO2排出量が最も多いセクターのひとつであり、同セクターからの温室効果ガス総排出量(GHG)は、世界の化石燃料使用による直接排出量の7~9%を占めている。
2020年に設立されたH2グリーンスチールは、スウェーデンのボーデンに主力となるグリーンスチール工場を開発中で、本プロジェクトには、鉄鋼生産施設と一体化したギガスケールのグリーン水素プラントが含まれている。同社は、酸化鉄から酸素を除去するためにグリーン電力で製造された水素を採用し、通常発生するCO2排出の大部分を回避する。また、製造工程で発生するエネルギー需要には100%再生可能な資源からの電力を使用する。H2グリーンスチールは、2025年の生産開始を目指し、2030年までに500万トンのほぼ化石燃料を使用しない鉄鋼の生産を計画している。
同社は、メルセデス・ベンツ、BMW、スカニア、世界的な自動車サプライヤーであるZFなどの企業との供給契約を発表している。
今回の第三者割当増資は、新規投資家のHy24が主導し、既存投資家のAltor、GIC、Just Climateとともに行われ、新規投資家のAndra AP – fondenとTemasek、既存投資家のAMF、Cristina Stenbeck、日立エネルギー、IMAS財団、Kinnevik、シェフラー、Vargas、Wallenberg Investments持ち株会社のFAMが参加した。本取引は、今年ヨーロッパで最大規模の第三者割当増資であり、世界的なメーカーがサプライチェーンの脱炭素化を目指すなか、低炭素鋼の需要が今後数年間で大幅に増加すると予想されている。
Hy24は最近、水素インパクトファンド「Clean H2 Infra Fund」のために20億ユーロ(約3,150億円)を調達し、クリーン水素バリューチェーンのみに投資する世界最大のインフラファンドとなった。今回のH2 Green Steelへの投資は、水素インフラファンドとしては最大規模である。
【参照ページ】
(原文)€1.5 billion in equity to build the world’s first green steel plant
(日本語参考訳)H2グリーンスチール、大規模工場建設に向け2,000億円超を調達