6月20日、航空宇宙大手のボーイングは、今後10年間の持続可能な航空燃料(SAF)の生産能力を追跡し、ジェット燃料の総消費量に対するSAFの予測使用量を視覚化できる新しいツール「SAFダッシュボード」を発表した。
新しいダッシュボードは、ボーイングが今年初めに公開したCascadeに続くもので、航空による気候変動への影響に対処するため、さまざまな航空脱炭素化技術を評価することを目的としたデータツールである。ボーイングがCascadeを使用して発表した調査結果によると、SAFは現行の航空機に使用できることから、今後数年間で炭素排出量の削減に最も貢献することが示された。
燃料は航空セクターの排出量の大部分を占める。一般的に、SAFは廃油や農業残渣などの持続可能な資源から生産され、従来の燃料に比べてライフサイクルGHG排出量を85%も削減できると期待されている。
しかし、航空会社によるSAFの利用を大幅に増やす努力は、現在市場に出回っている供給量の少なさや、従来の化石燃料をはるかに上回る価格など、大きな課題に直面している。
新しいダッシュボードは、BloombergNEFが収集したデータを使用して、世界のSAF生産能力に関する発表を照合し、生産経路、場所、その他の指標別に必要な供給量を算出する。主な機能としては、国別のフィルター機能、選択した稼働日別の累積生産予定量の表示、日付別、燃料タイプ別、経路別の燃料生産量変更発表の表示、設備のライフサイクル・ステージ別の生産能力発表の表示、生産能力の何パーセントが最終的に生産されるかの仮定設定、累積発表生産量の経時的な表示などがある。
ダッシュボードには、SAF対ジェット燃料消費マップも含まれており、地域別、選択した年別のジェット燃料総消費量に対するSAFの使用割合を見ることができる。
【参照ページ】
(原文)Boeing Launches SAF Dashboard to Track and Project Sustainable Aviation Fuel Production
(日本語参考訳)ボーイング、世界のSAF生産能力を追跡するツールを発表