5月15日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、インドのG20議長国と共同で、低コストの金融がいかにしてエネルギー転換を加速させるかに関する包括的な報告書を発表した。「低コストのエネルギー転換金融」と題された本報告書は、インドの新・再生可能エネルギー省(MNRE)との緊密な協力により作成され、G20諸国およびその先の国々で低コストの資本の利用可能性を高めるためのツールボックスを提供している。
IRENAの「世界エネルギー転換展望」のプレビューによると、1.5℃の気候目標を達成するためには、一次エネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合を約4分の3に高め、2030年まで平均5兆米ドル以上の年間投資が必要である。しかし、多くの新興国や低所得国でエネルギー転換を加速させるためには、資金調達が不十分であり、コストがかかりすぎることも少なくない。
この点で、国ごとの事情は異なるものの、カントリーリスクや政策リスクが、国際的な機関投資家の資金流入を妨げる主な要因であると、本報告書は指摘している。
本報告書では、近年の太陽光発電や風力発電の急激なコストダウンを教訓に、エネルギー転換の次のステージで重要な技術である水素、洋上風力、バッテリーストレージのスケールアップを加速するために、技術移転の取引コストを削減し海外直接投資を促進できる枠組みを挙げている。
これらのイノベーションの枠組みは、実現可能な技術、ビジネスモデル、市場設計、システム運用の改善を促進する。また、技術的成熟、イノベーション、システム統合、製造能力の向上、労働コストの削減が期待できる。
低コストの資金調達は、インドのG20議長国が設定した6つの重要な優先分野の1つとして認識されている。IRENAは、鉄鋼セクターにおける資源効率や循環型経済など、他の優先事項についても議長国と協力している。
【参照ページ】
(原文)IRENA Launches Report for the G20 on Low-Cost Energy Transition Finance
(日本語参考訳)IRENA、低コストのエネルギー移行金融に関するG20向け報告書を発表