3月8日、バイデン政権は、産業部門からの温室効果ガス排出削減を目的とした一連のイニシアティブを発表した。これには、排出削減が困難な部門を対象とした脱炭素化プロジェクトを加速させるための60億ドル(約8,200億円)の産業実証プログラムが含まれている。
米国の排出量の3分の1近くを占める産業部門の脱炭素化の推進は、バイデン政権の気候変動対策の重要な重点分野である。同政権のインフレ削減法(IRA)と超党派インフラ法(BIL)には、無炭素エネルギー、製造業、クリーンテクノロジーなどの分野で、気候変動に焦点を当てた約5,000億ドル(約68兆円)の投資が含まれている。連邦政府自身のプロジェクトについては、昨年、「バイ・クリーン・タスクフォース」を発足させ、ライフサイクルを通じて、体積排出量や汚染物質の少ない建設資材の使用を目標とした、クリーン調達の促進を目指している。
エネルギー省(DOE)が発表した60億ドルの資金提供プログラムは、この10年間で脱炭素社会を実現するために、第一段階または初期段階の脱炭素プロジェクトにかかる費用の最大50%を提供する。DOEは、産業界の脱炭素化を加速し、実証された技術の普及に向けた後続投資を促進し、よりクリーンな製品の新市場を実現し、地域社会に利益をもたらすプロジェクトを優先すると発表している。
プロジェクトは、鉄鋼・アルミニウム・セメント・コンクリートなどの排出量の多い産業を対象に、国内および世界で大幅な脱炭素化を達成する可能性が最も高い技術を横断的に導入することが期待される。
実証プログラムの資金は、IRAから54億ドル(約7,380億円)以上、BILから4億3,000万ドル(約587億円)が提供される。
また、政権は「連邦/州・バイ・クリーン・パートナーシップ」の発足を発表した。12州の参加でキックオフし、州が出資するプロジェクトにおいて低炭素のインフラ資材を優先的に調達し、連邦政府とともにクリーン資材への調和のとれた需要シグナルを送ることを約束した。
【参照ページ】
(原文)US announces $6 bln in grants to decarbonize heavy industry
(日本語参考訳)バイデン政権、産業の脱炭素化プロジェクトに約8,200億円の資金提供を発表