1月30日、エネルギー大手bpは、世界のエネルギー動向と不確実性に基づき、今後30年間のシナリオ予測を行う「エネルギー・アウトルック2023」を発表した。
この1年間に起きた大きな出来事、特にロシア・ウクライナ戦争と最近の米国インフレ抑制法の成立を受けて、bpの予測は2022年の見通しから大きく変化し、今後数年間は化石燃料ベースのエネルギー需要の減少や再生可能エネルギーの割合の増加など、エネルギー転換が加速すると予測するシナリオが示されている。
本報告書の主要テーマのひとつは、ロシア・ウクライナ戦争による世界のエネルギー供給の途絶とそれに伴うエネルギー不足が長期展望に与える影響である。この戦争は、エネルギー安全保障とアフォーダビリティの重要性を浮き彫りにし、今後数年間、国産の再生可能エネルギーやその他の非化石燃料の需要を促進すると同時に、経済成長とエネルギー効率対策への長期的影響により、エネルギー需要全体の減少を促すと予想される。
今年のレポートの3つのシナリオは、いずれも自然エネルギーの割合の増加と電化の進展によって、化石燃料の重要性が低下していることを示している。例えば、2022年のレポート以降、2035年のニューモメンタムシナリオでは、石油と天然ガスの需要が5%以上減少し、自然エネルギーの需要が約5%増加し、原子力も2%増加した。
この1年の出来事によって、炭素排出量の予測も大きく変わり、特にニューモメンタムシナリオの排出量は2022年の見通しに比べて、2030年には4%近く、2050年には9%以上減少している。しかし、化石燃料の重要性が低下しているにもかかわらず、bpは、各シナリオにおいて、今後15~20年間は石油が引き続き主要な役割を果たすと主張している。
bpの2023年見通しにおけるその他の主要テーマは、エネルギー転換に対する政府の支援の増加、特に米国におけるインフレ抑制法の成立、および脱炭素化の取り組みを拡大するための低炭素エネルギーやインフラの迅速な許可・承認を促進する政策を含む政府のさらなる支援の必要性、バイオ燃料や水素などのクリーン燃料の利用拡大による脱炭素化が困難なセクターへの対応、脱炭素化のための炭素回収・貯留が中心となる役割などが挙げられる。
【参照ページ】
(原文)bp Energy Outlook 2023 explores key trends and uncertainties surrounding the energy transition
(日本語参考訳)bp Energy Outlook 2023は、エネルギー転換をめぐる主要なトレンドと不確実性を探索します。