9月14日、アウトドア・アパレル企業のPatagoniaは、創業者のイヴォン・シュイナードとその家族が持つ会社全体の所有権を、気候変動に焦点を当てたNPOと新たに設立した信託に譲渡し、今後同社が生み出す非再投資の利益はすべて地球の保護に捧げると発表した。
Patagoniaは1973年に設立され、カリフォルニア州ベンチュラに拠点を置く。同社は現在、全世界で70以上の店舗を所有・運営し、年間売上高は約10億ドル(約1,400億円)と推定されている。同社は長年にわたり責任あるビジネスの実践を提唱しており、2011年にB Corpとなった。翌年には定款を変更し、サステナビリティと労働者を大切に扱うことを採択し、カリフォルニア・ベネフィット・コーポレーションとして事業を登録している。2018年には、同社の目的を「We’re in business to save our home planet(私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む)」に変更した。
会社の所有権は2つの団体に移された。環境危機と戦い、自然を守ることを目的としたNPOであるthe Holdfast Collectiveが、同社の議決権のない全株式からなる98%の株式を保有する。議決権株式に相当する残りの株式は、同社の価値とミッションを守るために作られた新しい法人the Patagonia Purpose Trustが保有し、会社のすべての重要な意思決定を承認している。
イヴォンは「地球はいまや私たちの唯一の株主」と述べている。新体制のもと、Patagoniaは「Patagoniaに再投資されないドルはすべて地球を守るための配当として分配される」と述べ、この目的のために年間約1億ドル(約140億円)を支払う。また、売上の1%を草の根環境保護団体に寄付するという長年の慣行も継続する予定だという。
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(原文)地球が私たちの唯一の株主