7月26日、Moody’sのESGソリューションズの新レポートによると、2022年第2四半期のサステナブルボンドの発行は、世界の発行総額の15%に達し過去最高となった。
グリーン、ソーシャル、サステナビリティ、サステナビリティ・リンク(GSSS)債の発行量は、市場の逆風により引き続き圧迫され、上半期には21%減の4,470億ドル(約59兆円)となったが、世界全体の債券発行量の26%減を上回るパフォーマンスであった。第2四半期のサステナブルボンドの取引高は第1四半期比2%増の2250億ドル(約29.8兆円)で、四半期としては1年以上ぶりの増加となった。
Moody’sは、今年下半期のGSSSのボリュームがより強くなるという予想と、通年で1兆ドル(約132兆円)という予想を維持した。
グリーンボンドは、前四半期比でのGSSS債券の回復の主な要因であり、当四半期は28%増の1,360億ドル(約18兆円)となり、前年同期比ではほぼ横ばいとなった。グリーンボンドの回復は特に欧州で顕著であり、欧州の発行体による発行額は第1四半期に比べて82%以上増加し、当四半期には870億ドル(約11.5兆円)に達し、世界全体の64%を占めた。Moody’sは、下半期もグリーンボンドの出来高の改善が続くと予想しており、通年の発行額は2021年の水準と同程度の5億5,000万ドル(約129兆円)になると予想している。
ソーシャルボンドは340億ドル(約4.5兆円)、サステナビリティボンドは350億ドル(約4.6兆円)と、いずれも出来高は減少を続け、それぞれ前年比40%減、36%減となった。Moody’sの予想では、パンデミック関連プログラムの終了に伴い、社会債券の発行額は引き続き低調に推移する一方、「環境と社会の両方の目標を強調しようとする発行体」によって、サステナビリティボンドの発行額は回復すると見られている。
サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)の発行額は200億ドル(約2.7兆円)と第1四半期から31%減少したが、上半期のSLBの発行額は470億ドル(約6.2兆円)と、2021年上半期の水準よりも20%以上高い水準を維持している。Moody’sは、「SLBは、一般企業目的の借入の柔軟性を維持しながらサステナブルボンド市場の開拓を目指す多くの発行体にとって、引き続き選択すべき手段として浮上している 」ことから、SLBの発行額は今年後半に再び増加すると予想している。
本レポートでは、今後サステナブルボンド市場に影響を与えそうな主な市場や規制の動向も紹介している。たとえば、EUの分類法では最近、原子力やガスの活動の一部が適格とされ、これにより、オンタリオ電力やBruce Powerによる最近の取引など、原子力関連のグリーンボンド発行が増加する可能性があるとされている。その他の重要な出来事としては、連邦政府の発電所からの排出を規制する能力を制限する最近の米国最高裁判決(米国のエネルギー転換を遅らせるリスク)や、欧州中央銀行(ECB)が最近、債券の保有を気候変動のプロファイルが優れた発行体に傾けることを発表し、長期的にサステナブルボンドのボリュームを高める可能性があることなどがある。
【参照ページ】
Moody’s Corporation Reports Results for Second Quarter 2022