3月21日、Moody’s Investors Serviceは、航空・外食・ゲーム産業など、一連の新しい業種へのESGプロファイルと信用影響スコアの拡大を発表した。
Moody’sは今後、各企業のリスク・エクスポージャーや信用影響の度合いなど、ESGの考慮事項を企業の信用分析に統合していく予定だ。報告書には、issuer profile scores(IPS)とcredit impact scores(CIS)の2種類のESGスコアが含まれる。IPSスコアは、信用リスクの材料となり得るESGの考慮事項に対する発行者のエクスポージャーを測定し、CISは、それらのESGの考慮事項が発行者の信用格付に与える影響を測定する。
Moody’sは、2021年1月にこのスコアを発表し当初はソブリンに焦点を当てていたが、この1年間で対象セクターを拡大し、ヘルスケア・公益事業・メディア・自動車メーカーから州・市・郡に至るまで追加している。
本スコアを紹介するレポートの中で、Moody’sは各セクターに対する総合評価を示している。航空会社のESGについては、信用に中程度のネガティブな影響を与えるとし、その主な要因はこのセクターの炭素移行リスクへのエクスポージャーにあるとした。これは排出削減を求める社会的圧力が強まる一方で、航空会社のCO2排出量削減能力が限られているためにリスクエクスポージャーが生じること、および政府が航空機からの排出量に関する規制を強化する可能性があることを挙げている。
外食産業とゲーム会社の多くでは、ESGの考慮がネガティブな影響を及ぼしていることが分かった。外食企業は、より健康的な食生活やライフスタイルに対応するための社会的傾向、食品を媒介とする疾病の可能性、 サプライチェーンの課題、また農業への依存や牛肉・鶏肉・豚肉などのタンパク質製品といった環境配慮を背景に、信用格付けに中程度のネガティブな影響を及ぼしている。ゲーム会社は、カジノスタイルのゲームからの文化的嗜好の変化、ゲームが資金洗浄の手段として利用される可能性、ギャンブル中毒からプレイヤーを守るための規制環境の強化など、高い社会的リスクが信用格付けに影響を及ぼしている。
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(参考記事)ESG considerations have negative credit impact on airlines, gaming, restaurants