英国、人権デューデリジェンス義務化へ 英国内売上高3億5,000万ポンド超の外国企業も対象

11月4日、英国政府は、企業に人権デューデリジェンス(人権DD)を義務付ける新制度を導入する方針を議会で表明した。英国企業については全世界売上高が3億5,000万ポンド超、外国企業については英国内売上高が同額を超える大企業を対象とする。強制労働によって生産された製品を市場から排除する仕組みも導入する方針である。
英国政府は、2015年に制定した現代奴隷法について、企業の自主的な取り組みや情報開示に依存しており、強制労働の防止に向けた制度が断片的であると指摘。国際基準や主要貿易相手国の法制度との整合性を高める必要があるとしている。
なお、今回の発表は立法方針を示したものであり、制度の施行時期や詳細な実施要件は今後の法制化を通じて定められる。
大企業に人権リスクの特定・評価・対処を義務化
新制度では、対象企業に対し、自社の事業活動やサプライチェーンにおける人権侵害・労働搾取のリスクを特定、評価し、対処することを求める。
制度はリスクに基づく比例的な仕組みとし、経済協力開発機構(OECD)の責任ある企業行動に関するガイドラインや、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際基準との整合性を図る。
適用地域は、サービスについては英国全域、物品についてはグレートブリテン島となる。
強制労働製品の市場撤去制度も導入
人権DD制度の下では、強制労働によって生産された製品をグレートブリテン市場から撤去するための権限も設ける。
規制当局は、該当製品を市場に流通させた疑いのある企業を調査し、人権DD義務の不履行と強制労働が確認された場合、製品の撤去を命じることができるようになる。
一方、北アイルランドには、ウィンザー枠組みに基づきEUの強制労働製品禁止規則(EUFLR)を適用する。政府は今後、企業向けのガイダンスやツールを集約したオンライン拠点も整備する方針である。
参考:Responsible Business Conduct Statement made on 4 November 2026

